快適に背負えるザック選びが徒歩キャンプやトレッキングの楽しみを変える

バックパッキングにおいて、生活用品一式を収納するザックは選ぶのが難しい。メーカーによってコンセプトが違うので、選択を間違えると後悔するだけでなく体を痛める原因にもなるからです。

自分の旅のスタイルに合わせ、いかに効率よく収納し、また快適に背負って歩くかを考えて、自分にとって最適のザックを選ぶようにしたい。

ザックを背負って歩く
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すべての荷物を背負うために

たとえば、交通機関を使って移動し宿に泊まる旅であれば、スーツケースやガーメントバッグのように衣類や荷物を効率よて収納できるバッグが便利だろう。

しかし、舗装もされていない山道を生活用品一式とともに自分の足で移動するバックパッキングでは、荷物を手に下げて、あるいはガラガラと引きずって歩くことは事実上不可能です。

また、両手を開けておくことは、何が起こるかわからない自然の中では危険回避の意味でも大きな意味を持つ。そんなわけで、バックパッキングではすべての荷物は背負う。

60~70年代の欧米のバックパッキング・ブームでは、パイプフレーム型(リジッドフレーム)のザックが一世を風靡したが、これはシステマチックに荷物を収納できる便利なものだった。

日本でも当初大流行したが、いざ使ってみると国内のフィールドにはいまいち不向きで、岩場や樹林帯ではフレームが引っ掛かり、急な上りや下りでは硬いリジッドフレームゆえに体とパックの一体感が得られにくい、ということで、いつしかすたれてしまった。

そのリジッドフレームパックに変わり、現在主流となっているのがインターナルフレームザックである。

必要にして充分なサイズのザックを選ぶ

ザックは、その容量、用途に応じてさまざなタイプがそろっています。

容量については、旅の日数、季節の違いによって変わる荷物を収納できるサイズのザックを選べばよい。目安としては、日帰りであればウエストバッグやデイパック、小型ザック(20~35リットル程度)、軽量・コンパクトな幕営用具で固めた短期間の旅であれば35~50リットル削後の中型ザック、より長期の旅や、寒い季節で防寒具が増えたりすればそれ以上の大型ザックが必要となる。

最近の中・大型ザックは、しっかりしたインターナルフレーム(ザックの背面に内蔵されたフレーム)や容量調節システムによって、少ない荷物でも快適に背負えてしまう。

ところが、「大は小を兼ねる」とばかりに必要以上に大きなザックを選ぶと、つい余計な荷物を詰めこんでしまいがち。慣れないうちは、ザックの容量で荷物の量を制限するくらいのほうがうまくいく。

ただし、小型ザックは無理に多くの荷物を詰めこむと背面がふくらみフィット感が悪くなります。

用途ということでは、「クライミングザック」と銘打っているものがあるが、これらは岩登りや雪山などの登攣向きに作られたもの。一般的にザックの前後の奥行は薄く、激しい動きでも体にフィットするように作られている。山岳地だけでなく、ツアースキーのように動きのある旅に向いている。

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ただし、その性格上、超大型ザックは少ない。

一方で、インターナルフレームでありながら、かつてのリジッドフレームパックの流れを汲んだ、「歩き」を重視したタイプ(アメリカ系ブランドに多い)がある。

大きな特徴は、大げさにも見えるヘビーなヒップベルトで、荷重を肩と腰に分散して受け止める構造になっている(クライミングザックのベルトは、体へのフィッティングを高めることが主日的なものが多く、それほどヘビーではない)。長距離を歩く旅ではこちらのほうがおすすめ。

【大型ザック(70リットル~)】

かつてのフレームパックに替わるタイプ。フレームは背面に内蔵される。背面長が調節できるタイプが多い。メーカーの専門店であれば、背面のフレームを自分の背中の形状に合わせて調整をしてくれる。

ザック【大型ザック(50~70リットル)】

日本のフィールドを考えたときに使い勝手のよいサイズ。基本的な機能は70リットルオーバーザックと同じ。機能や重量で吟味して選びたい。

【中型ザック(35~50リットル)】

装備を切りつめれば、このクラスでもテント泊は可。背面長はサイズ別の固定型が多い。ユニークな形やシステムを持ったものもある。
特に背中に熱がこもらないようにしているものや、側面から荷物が取り出せるものなどがあって便利なものがある。

【小型ザック(20~35リットル)】

日帰り用、あるいは大型ザックのサブザックとして使用。サブザックとしてならコンパクトにたためるものが便利。
例えばテント泊登山の際に、頂上に登る時に大きなザックを背負うのは、足場がわるく狭い山頂では、危険になる。そんな時にはサブザックを頂上アタック用に使うといい。

【ウエストバッグ(~15リットル)】

ウエストベルトのみで荷重を支えるタイプ。ランチと雨具、小物程度のハイキングならこれでも可。小さいわりに多機能なものが多い。

体に合ったザックを選び、フィットさせる方法

体に合っていないザックは初め大きな違和感がなくても、ジワジワとボディブローのように疲労が効いてくるもの。

きっちりと体にフィットしたザックは、まるで体の一部のように背中に吸いついて、体を動かしてもズレたりグラグラしたりすることがない。また、あとに述べるパッキングとの関連もあるが、同じ重量の荷物でも軽く感じられるものです。

ザックのフィッティングは大きくふたつに分けられる。ひとつは購入の際に体に合ったザックを選ぶこと。もうひとつは、その選んだザックをさらに調整して体に合わせることである。

体に合ったザックを選ぶ際の最大のポイントは、背面長(首の後ろの飛び出した骨から腰骨上端までの長さ)とザック・サイズ(ショルダーストラップ付け根からウエストベルト上端までの長さ)が合っていることである。

わかりやすい方法としては、ザックを背負いショルダーストラップを締め、ヒップベルトを腰骨上で締め上げたときに、ショルダーストラップが背中上部から肩にフィットしていることがポイントとなる。

ショルダーストラップが肩から浮いているものは大きすぎ、逆に背中の中ほどまで回りこんでいるものは小さすぎるザックといえる。

小型ザックはショルダーストラップの長短でごまかすしかないが、中型以上のサイズになると、サイズ選択や調整ができるものが多い。

ザックのサイズに関しては、S、M、Lなどのサイズ表示になっているもの、メンズ、レディースと性別で区別しているもの、あるいは海外ブランドのものでは「日本仕様」(本国仕様のほうが大きい)と区別されていたりする。サイズによって容量の違うことが多い。

また、大型ザックではショルダーストラップの取り付け位置を変えることができるようになっているものも多い。このタイプなら、より自分の体に合わせることができる。

各種ストラップの調整も忘れずに

さて、自分に合ったザックを手に入れたら、次は体にフィットするように調整しなければならない。

主な調整ポイントは、ショルダーストラップ、ヒップベルト、ロードコントロールストラップ(ショルダーストラップ上部に付けられているベルトで、ザックの上部を体に引き寄せる役割を持つ)の3カ所。荷物の量やその日のウエアによっても調整幅は違ってくるが、慣れてくればスピーディに体感だけで合わせることができる。あまりきつく締めすぎないように注意。

これ意外にもザックには数多くのテープ(コンプレッションベルト)が付いているが、その多くは荷物の量に応じてザックの大きさを調整するためのもの。荷物が片寄ったり動いたりすることのないように調整しておこう。

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