電車やバスに乗って登山口にたどりつき、いざ山道を歩き始めてみたが、体調がかんばしくないのか、登り坂ですぐにパテてしまう人。
「きのう遅くまで飲んでいた」「残業続きで疲れている」「風邪ぎみ」「久々に体を動かしたのできつい」などの理由はよく聞く話です。
それでもせっかく来たのだから登ろうという人の根性はすごいが、自己管理を怠った事実は否めない。
コンディションが悪いとつまらない登山になるばかりか、山岳遭難に結びつかないとも限らない。
ひとり歩きで登山する以上は、万が一のことにそなえるためにも山行日を焦点にしてグッドコンディションで向かうべきなのです。
自己管理ができているハイカーは、ジョギング、水泳、サイクリング、徒歩とさまざまなトレーニングをしてます。
いずれも持久力がつき、心肺機能が高まるものばかり。
これからひとり歩きハイキングを始めようと思う人は、自分に合ったトレーニング方法を選ぶとよいだろう。
ただし、急激な始動は逆に心肺機能に負担をかけるので徐々に進めるべきです。
●山登りの持久力をアップするのと同時に忘れてならないのが、筋力アヅプと体の柔軟性を高めること
筋力が弱いと、山の下りで膝が笑いだしたり、ザックの重さが極度に負担になることが多い。
体が固ければどうしても山の岩場などで足首を捻挫したり、腰痛になったりする確率が高い。
急坂、悪路、でこぼこの激しい山道では、体を柔らかくして身体能力のクッションをきかせることが大切。
しかしトレーニングも続けなければ意味がなく、かといって山行が近くなったからといって、直前に始めるのでは疲労を山に連れていくだけです。
できれば山行の合間に一日か二日おきに定期的なトレーニングをし、実際の山行の二日くらい前には休み、体力を淵存しておくほうが効果的です。
仕事が忙しくて山登りのトレーニングができないという人は、小さなことでもなにかひとつ、心がけてトレーニングを続けると効果が上がります。
たとえば、エレベーターやエスカレーターを使わずに階段利用のみにするとか、電車やバスの一区間前で下りて歩く方法など。
一番簡単な方法は風呂上がりに5分でも10分でも体を動かすこと。
要は、快適なひとり歩き登山をするためになにをしなければならないかを考え、ふだんも工夫することです。
●山へ入る前に治しておきたいのがカゼやケガ、そして持病
カゼをひくと山へ登り、サウナがわりに汗をかいて治してしまう、という人がいたが、それは特殊な例で、普通の人なら治るどころかこじらせるのが関の山。
カゼをひいたと思ったら無理をせずに登山は即刻中止にすべきです。
ビジネスマンなら、気をつけたいのは、飲み過ぎ、食べすぎ、そして、夜ふかしをすることだろう。
とくに都会生活者には深夜型の人が多いので、朝の早い山登りとの「時差」の埋め合わせに苦労することが多いからです。
昔からよく言われていることですが、山行が近づいてきたら早目の就寝を心がけるべきだろう。
睡眠不足で山へ入ると倍に疲れてしまうので要注意です。
●夜行列車で行く山行は睡眠不足に陥りがち
できれば早めに現地に到着して、歩き始めたいという心がけはとてもいいのですが、夜行列車や夜行バスではなかなかぐっすりと眠るというわけにはいかないものです。
ひとり歩きハイカーの場合は、なるべく夜行列車を使わない方がいい。始発電車を使うか、前日入りをしてから歩き始める方がいい。
登山口の近辺にある旅館や温泉に泊まって、そこで十分休養をとって翌朝早く歩き始めることをおすすめします。
いずれにしろ、ひとり歩きの登山の場合、大切なのは、つねにつきまとう不安を入山前にできるだけとりのぞくことにあります。
そのための各自の体力の充実であり、病気を治すことであり、節制であるわけです。
これらは、初めのうちは負担に感じるかもしれないが、続けているうちに日常生活の一部となってきます。
末長くひとり歩きを楽しむためには、自分なりの長期展望をしっかりもち、日ごろからの精進が必要なのです。