ハイカーなら地図と磁石で現在位置を確認する癖を持とう

中高年登山者の事故が増加しています。
その1、2位を争うのが下山時の転倒滑落と道迷いだといわれます。
山に登る際は際には、必ず地図と磁石(コンパス)を携行して欲しいと思います。

ハイキングに使える地図にはいろいろなタイプがあります。
登山のための基本的な地図は、「2万5千分の1地形図」(以下、2万5千図と略記)。
使い馴れると、地形が浮かび上がってみえるようになります。

2万5千分の1の地図32枚分のエリアをカバーするのが、「20万分の1地勢図」(以下、20万図と略記する)です。

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●地図を使いこなすことができれば、ハイキングの楽しみも倍になる

山頂に立って周囲を眺め、カッコいい山がふえるとちょっと気になるものです。
「あの山、なんていう名前かな?」。
地図を広げて山名を確認する、これを山座同定という。

山座同定や山域全体の概念を、掴みたいとき役立つのが20万図。

いずれも国土地理院発行の地図で、インターネットの国土地理院のホームページでも確認できるが、印刷されたものは大きな書店にいかないと入手できないのが難点。

2万5千図が基本と前述したが、山歩きを始めたばかりの初心者が読図の講習会を受けることもなく、いきなり2万5千図を読めといわれても無理がある。

初心者なら書籍として町の本屋さんにも置かれている昭文社発行などの「登山地図」で問題ありません。

市販の「登山地図」は、ポピュラーな山はほとんどカバーされているし、読図の勉強のレッスンとして丁度いい。

●地図を持たずにハイキングすることは、遭難しに行くようなもの

昨今、問題になっているのが、地図も磁石も持たずに山に入ってくる人が多くなったことです。

少し前なら、ガイドブックに掲載された地図と解説ページをコピー片手に登ってくる人が目立ったが、最近はインターネットからプリントアウトした情報片手の登山者が多い。

近郊であれ中部山岳であれ、メジャーな山なら地図なんてなくたって登れるが、地図も持たないそんな山登りばかりしていると、道を間違えたりしたら一巻の終わりです。

しかし、地図を持っていればいいってものではありません。
ザックの中に収まっていて、登山中に一度も陽の目を見ないんじゃ意味がない。

●せっかく地図を持ってきたのなら、ザックからひっぱり出して、読図の勉強をしよう

「読図」とは耳慣れない言葉だと思う。
地形図は等高線、縮尺、その他いくつもの約束事で作成されています。
眺めているだけでは、そこに込められている情報を解読できない。
コースの緩急、めざす山の方向などを読み取らなければならない。
地図は見るのではなく、読むものなのです。

山で道に迷ったふたいだと、慌てて地図を出しても手遅れ。読図とは道に迷ってからするものでなく、道に迷わないようにするのが読図です。

スタート地で地図を開いて、地図上に現在地を確認します。

仮に南向きに立っているとする。
地図は北が上になるように作成されているから、そこで地図を広げると実際の地形に対し逆さまに置かれているということは、すぐ気がつくこと。

地図を逆さまに広げておいて、図上に現在地を確認しても意味がない。
地図と実際の地形が重なり合うように地図を広げてこそ読図ができる状態なのだ。

堅苦しい表現になるが、地図と実際の地形とが1対2万5千の相似の位置関係に広げられること、それが地図の正置である。

正置に必要な道具が磁石である。地形図の左右の辺は上(北)に伸ばしていくと北極点に到達する。

しかし、磁石の赤い針は北極点ではなく西に偏ったポイントを指す。
そこを磁北と呼ぶ。

地形図の欄外に西偏の角度が記されているから、分度器を使って地図
上に磁北線を引くといい。

磁石の赤い針を磁北線に重なるように地図を広げれば、地図は正置されている。

登山中は休憩の度毎に地図を広げ(正置)、現在地を図上に確認して
けば道に迷うことばないはずだ。

必ず地図と磁石を携行し、現在地の確認をしながら行動するようにすれば、読図の習熟に一歩近づくことができます。

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