山を歩く事にかかわらず、太っている人よりやせている人のほうが、運動には有利です。
歩くという行為は自分の体を前へ運ぶ作業。
体重が重い人ほど作業量が増え、その分だけエネルギーを多く生産しなくてはならないので、より多くの酸素が必要となります。
太った人が疲れずにハイキングを楽しむには、どうすればいいのでしょう?
太っている人ほど要求される全身持久力
太っている人ほど一生懸命エアロビクストレーニングを行なって、心肺機能を鍛えたほうがいい。
なぜなら心肺機能を鍛えて全身持久力が向上すれば、多少太っていても、山を歩くのに必要なだけの酸素が供給できるようになるはずだから。
太っている人は、ゆっくり歩くように心がければパテずにすみます。登山者の多い山では、他人のペースに引っ張られがちになるので、自分のペースを守ることに集中してください。
山を歩く有酸素エネルギーは、筋肉中のミトコンドリアに酸素を取り込んで、グリコーゲンなどのエネルギー源を分解することによって得ています。
だから、山を歩き続けるためには絶えず酸素を筋肉に送り込んでいなければならず、酸素が不足してくると、体内に乳酸が発生してすぐにパテてしまうばかりか、脳に酸素がいかなくなれば、その働きまで低下してしまいます。
山を歩いていてあくびがよく出る時は、酸素が行き渡っていないかもしれないので休憩をするほうがいいでしょう。
登山に全身持久力が必要な理由
全身持久力とは、心臓や肺、血液など、呼吸・循環系の働きによって酸素を筋肉に送り届ける能力のこと。
全身持久力が優れているということは、酸素の摂取・運搬能力が高いことを意味し、それだけ有酸素系エネルギーを効率よく生産できます。
つまり、パテにくいということ。
人間の体内では、心肺機能の働きによって酸素が摂取・運搬されているのだが、なかでもいちばん重要な働きをしているのが心臓。
心臓機能の違いが、全身持久力の優劣を決定するといっても過言ではありません。
口や鼻から肺に取り入れられた酸素は、血液中のヘモグロビンと結びついて心臓に取り込まれ、ここから全身へと送りだされてエネルギーの製造に使われます。
心臓は、血液を全身に送りだすポンプの役目があるので、ポンプの性能がよければ、一度にたくさんの血液を送ることができます。
運動中に心拍数はそれほど上がらず、あまり疲れない人はこの心臓のぽん機能が優れているということ。
全身持久力に優れた人は、ふつうの人に比べてみると心臓の筋肉が強化されており、容積も大きい。
このような心臓を「スポーツ心臓」と呼ばれています。
心臓機能だけではなく、全身持久力に優れた人は肺機能にも違いがみられます。
口から吸い込まれた空気は肺にためられ、ここで酸素が選別されて肺胞から血液中に取り込まれるのですが、肺胞が酸素を取り込む能力も一般の人より高い傾向にあるのでうす。
また、筋肉に張りめぐらされた毛細血管もより発達していて、体のすみずみにまで酸素をいきわたらせることができます。
このように、全身持久力に優れた人は、心臓をはじめ肺、毛細血管などの機能が向上されており、体に効率よく酸素を取り込めるのです。
山を歩いていても余裕をもって酸素が供給されるため、酸素不足におちいらず、パテずに歩き続けることができます。
全身持久力を高めるトレーニング方法は、ジョギングや水泳、サイクリング、ウォーキングなどのエアロビクス(有酸素)トレーニングが効果的。
勘違いしてはいけないのは、全身持久力さえ高めれば絶対にパテないというわけではなく、パテない山歩きのためには、必要不可欠な条件のひとつということです。