山は標高が高くなるにしたがって気圧は下がり、空気中の酸素は少なくなってくるというのは常識です。
酸素が少なくなれば当然、人体が摂取できる酸素の量も低下します。
しかし、登山に必要な酸素摂取量は、標高に関係ありません。
そのため標高が高くなるほど、歩くために必要なだけの酸素が摂取しにくくなります。
歩行運動に必要な有酸素系エネルギーの発生が充分できなくなってパテてしまいます。
標高2000m足らずでも高山病になることがある
空気が薄くなっても運動が続いている限り、体はなんとか必要なだけの酸素を摂取しようとします。
呼吸数が多くなって換気が増大し、酸素の取り入れが促進され、心拍数も多くなり、酸素を体の各組織に送り込む能力が高まってきます。
さらに、遠征登山などで長期間高地に滞在する場合には、血液中の赤血球が増加するというデータもあります。
血液中の赤血球の中にヘモグロビンという鉄分の多いタンパク質が含まれていて、これに酸素を結合させて体の各組織に運搬しています。
人間の体は酸素の摂取・運搬能力を高めることで、なんとか体は高度に順応しようとし、これを高所順応といいます。
つまり高所順応を計画的に行なって高度に対する体の機能を高めれば、ヒマラヤの8000級峰に登ることも可能となるのです。
しかし、体がいくらがんばって酸素の摂取・運搬能力を高めても、必要なだけの酸素を完全に供給できないことがあります。
酸素不足になると、夜間視力(薄暗いところでものを見る視力)や脳の働きを低下させ、記憶力や判断力などを鈍らせ幻覚などに悩まされることにもなります。
さらに頭痛や目まい、食欲不振、吐き気、脱力感など、さまざまなパテの症状を招く。
これが高山病です。
高山病にかかるかどうかは個人差が大きく一概にはいえないが、高度に対する耐性が弱い人では、標高2000mぐらいの山でも起こりえます。
Error, group does not exist! Check your syntax! (ID: 7)山麓から山頂まで大きな標高差のあるコースを、いっきに歩かなければならない場合などは要注意。
富士山の弾丸登山などもってのほかですが、そうでなくとも疲れがたまっていたり睡眠が充分でなければ、たちまち高山病にかかってしまう。
このようなコースでは、できるだけゆっくり歩くように心がけ、中腹で1泊するような行程を組めばいい。
前日に睡眠を充分とり、疲れをとっておくことも大事なことです。
富士山に限らず、3000m級の山を歩いているときに、軽い頭痛や目まいを訴える人はかなり多く、登山道の脇でうずくまっているひとをよく見かけます。
これも軽度の高山病といえますが、たいていは休んだり睡眠をとったりすることで治ってしまうのです。
危ないのは激しい頭痛です。
眠っている間にひどくなったり、鎮痴剤が効かないようであれば、すぐに下山を。
無理して行動を続ければ、死んでしまうことさえあります。
下山に勝る高山病の治療法はないのです。
高山病にかかりにくくするためのトレーニング方法は、エアロビクストレーニングで全身持久力を高めておけばいい。
平地での酸素摂取・運搬能力が高ければ、高い分だけ低酸素状態でも余裕をもって活動できると思います。
また、増血作用のあるタンパク質と鉄分をふだんから摂るようにしていれば、高山病対策は万全でしょう。