一人でハイキングはとても気楽で、自分のペースで歩けて良いように思えますが、全く自由に振る舞っても良いというわけではありません。
それは下界と同じく、常識人であることが前提となります。
それから、一人で歩くということは、もしも怪我をしたり、未知に迷ったりしても、自分ひとりで解決しなければならないというリスクがあります。
ひとり歩きを長く統けるための心構えが、グループ登山をする時より綿密である必要があります。
一人歩きのハイカーは、慎重で細心の注意力をもたなければ、ひとり歩きをしてはいけません。
●ひとり歩きハイキングには、強い心構えを持とう
ひとり歩きハイキングする上で、一番大事な心構えといえば、なんといっても第三者に迷惑をかけないことです。
もし、山中で足の骨を折った時はどうすればいいと思いますか。
グループ登山だったら、だれかが助けてくれるかもしれないが、ひとりの場合はだれも助けてくれないことを心得ていなければならない。
そこで必要となるのは、自分で足に副木を当てたりするファーストエイドの技術と、這ってでも下りてくる体力と気力です。
少し極端な例かもしれませんが、自然の中では何が起きるかわかりません。
むしろ起こる可能性をすべて考えるほうが、事故は割りと起きないもの。
ひとり歩きハイキングをする場合は、自分の力だけですべてに対処していく、という強い精神力がないとできないと考えます。
●ひとり歩きハイカーには、常識人であることが求められる
一見、自由そうに見えるひとり歩きハイカーは、水面下ではさまざまな下準備を綿密にしています。
山は一生楽しめるスポーツだからこそ、よりよい心構えをもって安全な登山を行ないたいもです。
その基本的な条件は・・・
①第三者に絶対に迷惑をかけない。すべて自分の責任で行動をする。
②自分の登山技術のレベルをつねに客観的に見られるようにし、レベルを超える無謀なことはしない。
③計画、装備、体力、知力など、ひとり歩きハイキングに必要な総合的な能力を日ごろから身につけるようにする。
④ハイキングのルート等、計画をかんたんに変更しない。よほどのことがない限り途中で投げ出したり、諦めたりしない。
初めがいい加減だと、つぎからもいい加減になってしまう。
⑤天候の悪化や体調の悪い時など無理だと思ったら、道を引き返すか、簡単なルートへ変更する勇気をもつ。
山は一年先、二年先でもそこにあり登れるのだから。
⑥わからないことがあったら、自分の判断だけにたよらず第三者にたずねる。遠慮して聞かずに道に迷ったら何もならない。
⑦ほかの登山者のよいところは吸収するように、つねに注意深く観察する。そのためにもほかの登山者との会話を多くし、情報を得るようにする。
⑧ハイキングの計画表を家族ならびに友人・知人に見せ、登山者カードはかならず提出する。
⑨山は場数を踏まないとうまくならない。間をおくといきおい緊張感がなくなるので、定期的に登るようにする。しかし、慣れというのが怖いことも頭に入れておくべきだ。
⑩もし万が一、山中で遭難してもつねに冷静でいられるように日ごろから訓練し、事態を正確に判断し、自分の力で切り開く能力を身につけておく。