登りたい山があっても、天候による環境変化のコース難易度の変化や、交通機関の運行状況に注意して検討する必要があります。
ただ単に山を楽しみたいと思っても、道具以外に準備や検討しなければならないことが、意外と多いものです。
同じ山を登るのでも、季節を選んで登ると、より楽しめる山やコースがあることを知っていますか?
季節によって変わる山の表情を楽しもう
「夏が来れば思い出す~」の歌(「夏の思い出」江間章子・作詞、中田喜直・作曲)で有名な群馬・福島県にまたがる湿原・尾瀬ヶ原は、5月下旬~6月中旬に訪れれば、残雪の至仏山を背景に開花期を迎えた水芭蕉の群落を目にすることができます。
長野県の霧ヶ峰では7月中旬、なだらかな緑の草原にニッコウキスゲの黄色い花が見事に咲き誇る。
春の花ばかりではありません。
群馬県・妙義山や栃木県の茶臼岳など、秋の紅葉時期に注目したい山も日本全国に数多くあり、また太平洋側の山では、晴天率の高い冬期に登る方が天候は安定しています。
同じ山でもハイキング時期を選ぶことで、難易度とは別の観点から山を捉えることになり、さらに思い出深い山行とすることができるのです。
一方で、山をひとつのフィールドとして趣味を楽しむ人も増えており、その場合のハイキング好期は趣味の内容によって違います。
山岳風景写真の撮影が目的であれば、遠景が霞みやすい春や夏よりは、空気の澄んだ秋~冬が適しているし、バードウォッチングやアニマルウォッチングにはそれぞれの適期があります。
ハイキングだからといって、山の頂上を目指すだけが目的ではありません。
人気の山や登山道では、あえてハイキング好機を外すほうがいい
花や紅葉で知られた山では、山歩きにちょうどよいハイカーが集中するものです。
特に10人以上の団体ツアーや、学校の行事、ハイキングのイベントなどに巡りあわせると、山の気分を味わうどころではありません。
静かに山歩きを楽しむ、という雰囲気からは外れてしまいます。
そんな山では、混雑するハイキング好期をあえて外して訪れるのもよいと思います。
特に、過去に登ったことのある山では、同じ山でも混雑時とはまったく違う別の-面を見ることができるかもしれません。
都市近郊でも毎年2月頃には、多少なりとも降った雪が積もることがあります。
いわゆる雪山登山となるような山は対象外ですが、こんなときに里山のハイキングコースや入門者向けの山を歩いてみるのもおもしろい。
たとえコースを歩き通さなくても、雪を踏んで歩いてみるだけでも、旧知の山も新鮮に見えるはずです。
その場合には、自分の経験やレベルと比べかなりレベルの低い、危険箇所のない安全な山を選んでください。
晴れていても最初からレインウェアのズボンを履き、スパッツを付けて歩き、ストックやサングラスも必ず持参するようにするようにするといいでしょう。
山歩きを初めて数年のうちは、次々に未知の山、よりレベルの高い山に登りたくなるもので、過去に登った山やレベルの低い山には、なかなか目が向かないものです。
そして、四季によって違った顔を見せる山の様相や、自然を見過ごしがちになりがちです。
山に向かう気持ちにも余裕を持って、時にはレベル・アップばかりでない山歩きも計画するのものいい。