もしも山で遭難したらどうするか、考えたことはあるだろうか。
ちょっとした道迷い(道間違い)くらいなら、多くの人が経験しているかもしれない。
しかし、それがもし大事になってしまったら・・・。
実際に遭難に直面したとき、どういう行動・思考をするのが正しいか、自分の身に置き換えて、真剣に考えてみてほしい。
「山に行ってきます」簡易メモだけ残して家を出る?
「登山計画書」は、ときにあなたを助ける命綱になることもある。
氏名、住所、携帯電話番号、緊急連絡先、予定のコース、持参している装備・食料などを記入し、地元警察(または登山口の計画書入れ)に一部を提出しよう。
また控えを家族や知人にも渡し、登山中は自分でも持ち歩こう。こうすることで、方ーのときも、あなたがどこの山でどうしているかがわかります。
とくに最近は天候の急変や、地震、そして御嶽山の噴火があったように先が読めない自然現象が多発しています。
だからこそ、詳細なメモを残しておくことは重要になります。
自由気ままに歩いていける単独行しかやらない
どんなに容易に登れる近郊の山であっても、単独行は冒険行為だ。
山で起こる小さなトラフルで足をひねった、お腹が痛くなった、道から転げ落ちたなど、仲間がいれば、助けてくれるようなことも、すべてひとりで対処しなければならない。
実際、単独行での遭難事故は多く、死亡や行方不明につながりやすい。
単独行を行なうひとは、この点を充分に認識して、万全の準備と慎重な行動で臨みたいものです。
落ち葉は登山道を隠してしまう
葉の散り尽くした晩秋は見晴らしがきき、ルートがわかりやすいとも言える。
いっぽう、落ち葉が道をおおい隠し、道をわかりづらくもする。
これは、登山道上にところどころで雪がかぶる残雪期や、登山道が沢を績断するような箇所などにもいえることであり、道迷いの起こりやすい状況だ。
歩くリズムを崩したくないから地図を見ずに下山する
遭難を避けるために最も大切なことは、道がわからなくなってから地図(地形図)を見るのではなく、歩きだしから要所要所で現在地を確かめ、その先のル卜の様子を確認しておくことだ。
実際、自分の居場所が不安になってから地図を見ても、なかなかわかるものではない。
周囲を見渡せれば、山頂や送電線などの目立つものとの位置関係で現在地がわかることもある。
また、尾根の上や沢沿いなら、高度計と地図の標高を当てはめて、だいたいの地点、を推測することもできる。
道に迷って「とりあえず下へ下へとおりた」
これは最大の間違い。
街に近づきたかったり、登り返す苦労を嫌って下りたくなる気持ちもわかるが、山で下に向かえば沢か谷となることが多い。
穏やかな山容の低山でも、そこに食い込む沢は峻険なことが多く、滝でも出てくれば下降は困難である。
迷ったときは、尾根をめざして上がるのが、原則だ。
近郊の山なら支尾根でも作業道があったり、赤布などの目印がついている可能性が高い。
なによりも、尾根に上がれば周囲が見渡せて自分の位置もわかりやすくなるものだ。
最近の携帯は山でもつながるという思い込み
山の稜線では、携帯電話の通じる箇所が多くなった。
しかし、機種や天候、地形によっても通じたり通じなかったりと、確実なものではありません。
山は街とは違う。
頼りたい気持ちもわかるが、「通じたらもうけもの」くらいの考えでいたほうがよいだろう。
ちなみに、谷筋に入ってしまうと、携帯電話の電波はまず通じない。
また、圏外にいると携帯電話の電池の消耗が早くなる。
緊急時以外は電源を切っておいたほうがよい。
無理して行動するよりビバークすることを決める
日没を迎え、ヘッドランプの明かりだけでは安全に行動できないとなれば、腹をくくってビバークを考えたほうがいい。
眼下に街の明かりが見え隠れするような場所だと、ついつい無理をしたくなるが、暗くなってからの行動で転倒・転滑落し、本格的な遭難になった例はいくらでもあるしビバークの判断は早めにするべきだ。
まさか使うときがくるとは思わなかった山道具
ビバークのとき、持っていて安心なのがツエルトだ。
現在は、小型軽量で200グラムを切るものもある。
たとえ日帰りの低山に行くときでも、ザックの隅に入れておけば安心だ。
ツエルトがあれば、万が一のビバークがずいぶん楽になります。
もちろん、使い方がわかっていなければ持っていても意味がないので、事前に練習しておく必要がある。
計画書をちゃんと出してからにしよう、と心に決める
登山とは、安全が保証された街とはまったく異なるフィールドで行なう行為だ。
いくら低山であっても、小さな冒険といえるだろう。
そんな冒険を積み重ねていれば、道迷いなどの失敗はいつ起きてもおかしくない。
その失敗を経験として蓄積し、同じ失敗を起こさないようにすることが大切だ。
無事下山できたら、よかったことわるかったことを反省し、次の山行につなげていこう。
みんなたくさんの失敗をして、一人前の登山者になっていくんだから。