北アルプスなど3000m級の山々の写真や映像を見ると、両側が切れ落ちた岩稜が延々と続いていて、かなりの高度感や恐怖感があります。
でも実は低山を歩いていても、思わぬ岩場が出現することがあって、緊張させられる事も多いもの。
広い登山道の多い道ばかり歩いている初心者なら、そんな岩場を目にしてしまうとどうしていいかわからなくなるだろう。
転落など事故や怪我を恐れるあまりに極度の緊張を強いられて、精神的なパテを招いてしまいます。
おまけに体に変に力が入って、足がつったり筋肉痛を引き起こしたりしてしまいます。
必要以止の緊張は、体の動きを固くするのでかえって危険。
充分な注意を払いながらも、余裕をもって通過しましょう。
岩稜や岩場に対する恐怖感、緊張感は、何度か経験するうちに慣れで解消します。
本当に岩場があることがわかっている場合は、いちばん望ましいのは、山行前に近郊の岩登りゲレンデへ行くなどして、岩稜・岩場歩きの基本的なテクニックをひととおり学んでおくといいでしょう。
そうすれば、スリルを楽しむぐらいの余裕をもって歩くことができるようになります。
岩稜、岩場での基本テクニック
◎岩を前にしても、怖がらずに落ち着いて行動すること。
◎岩稜や岩場が長く続くコースでは、取り付く前に小休止をする。
◎傾斜がゆるやかな所では、登りでも下りでも、やたらと岩に手をかけず、足だけで歩く。
◎視線は足元ばかりではなく、やや先にも向ける。
◎落石や浮石には充分注意すること。
◎傾斜のある岩場では三点支持が基本。
4本の手足のうち、次のホールドを探す1本を除いた3点で体を支える。
この方法だと体重が3点に分散されるため、1点だけが疲労してしまうことがなく、体勢も安定する。
◎体は岩から離して、ホールドをしっかりと確認しながら登下降。
ベッタリ岩にくっつくと、視界が狭くなり、動作も不安定になる。
クサリ場、ハシゴでのテクニック
◎クサリ場でも基本は三点支持。
クサリに完全にぶらさがった状態で登下降すると、途中で力尽きてしまう危険がある。あくまでクサリは補助手段と考えて、バランスを保つ程度に利用しよう。
◎ハシゴは、靴底のまん中でさんを踏んで登り下りする。
手も必ずさんを握ること。縦に立った手すりにつかまっていると、スリップしたときに止まらない。とくに雨の日など、鉄製のハシゴは滑りやすくなっているので充分に注意しよう。
ガレ場でのテクニック
岩峰の基部や沢の源頭などでは、大小さまざまな石が累積しているガレ場がよく見られます。
歩きにくいが基本は一般の歩行技術と同じ。
ただ、不安定な浮石が多いので、足元をよく確かめながら歩くようにしよう。
パーティの場合、先行者が落石を起こしても安全なように横一列になって歩くこと。縦一列になるときは、間隔を開けずに密着して行動するといい。