山ガールが評判になって、3年がたち、山登りを趣味として本格的に楽しむ女性の層が厚くなってきています。
これまではどちらというとファッション的な志向に重きを置かれがちでしたが、それも定着してきたことと、ちょうど流行がはじまってから山登りの始めた女性たちの、経験値も上がってきたことから、ファッション性よりも機能性を重視するようになって来ました。
それに対応するように、各アウトドアブランドのメーカーの動きも活発になってきています。
テント持参でアルプスを縦走するような20~30代女性も増えて、用具類のニーズはファッションから高機能へとシフトしています。
特にアウトドア用品を開発販売するメーカー各社は商品を拡充し、高まる山ガールの取り込みを急ぐ。
以下、2013年6月の日経誌より抜粋すると・・・。

●デザイン重視から明確に機能を求める女性消費者が増えている
アウトドア用品専門店「エルブレス御茶ノ水店」の保谷高志副店長は消費者の変化に目を見張る。
「ブーム時に流行した山スカートなどは売れず、軽くて機能的なウエアやザックが売れ筋」という。
同店で売り場を拡張しているのは山道を走るトレイルランニング用品や登山用のシューズなどだ。
この1~2年の特徴として、アンダーウエアや筋肉の動きをサポートするタイツなども売れているという。
ウエアのように外見には表れないものの、「安全性や機能性にこだわる消費者が多く、値段を気にせず買っていく」と保谷副店長は語る。
ゴールドウインのひざの動きをサポートする「エレメントロングタイツ」は1万4700円と高価格ながら、昨シーズンは品切れ状態になったという。今期は販促を充実させており「昨年を上回る勢い」(ゴールドウイン)だ。
ゴールドウインの「ザ・ノースフェイス」ブランドは80歳でエベレスト登頂を果たした三浦雄一郎氏にウエアや用具類を提供するなど技術力に定評がある。
ノースフェイスのウエアノースフェイスのウエア「トライアンフジャケット」は重さ約150グラムと軽くコンパクトに収納できる。1万8900円するが、既に今夏シーズン分がほぼ出荷が完了した。
ザ・ノースフェイス事業部の大坪岳人氏は「自ら情報を集めて選択眼を持った消費者が選んでくれるようになった」と話す。
●より高機能を求めて買い替え需要も活発
ミズノ直営店「エスポートミズノ」(東京・千代田)では、雨をはじくウエアのほか大容量のザックを買い足す女性客が増えているという。
「日帰りから山小屋泊、テント泊へとステップアップすることで求める用具類のグレードも上がっている」(山下浩二アシスタントマネジャー)
●「山ガール」用品は街のファッションにも広がる
デサントのアウトドアブランド「マーモット」は大手セレクトショップにウエアなどを展開し、ファッション誌で特集記事が組まれる。
デサントの田中嘉一常務は「実際に登山に出かける人は限定的だが、街中に広がることで大きなビジネスチャンスとなる」とみる。
高機能品と街中ファッションの両方で需要が広がった。
さらに富士山の世界遺産登録が確実となり、各社は「今年は再び登山が盛り上がる」と期待を寄せる。
登山ブームを一時的な盛り上がりにとどめず、多様な世代に根付かせようと各社の取り組みが続く。