数泊するような山歩きをするときは、いきなり挑戦するのではなく、まずは日帰りのワンディハイキングを何度か経験してから行くほうがいい。
なぜなら、数日間かけて連続で歩くのと、通常のワンディハイキングでは、似て非なるものといえるからです。
初心者ばかりではなく、以前、仲間と山を縦走した経験のある人も、ひとり歩きを始めるにあたっては、ワンディハイキングからはじめるほうがいいと思います。
グループで歩くのとは違う感覚や観察力、注意点に気づくワンディハイキングのすすめ
仲間と歩くのと違い、いざ、ひとり歩きを始めると、意外と自分でも知らなかった落とし穴に気づくことがあります。
仲間とは歩けても、ひとりになると意外と不安が先立って、前へ進めなくなることがあるからです。
難しい山へ入ってから、それに気づくのでは危険きわまりないし、せっかくやりはじめたひとり歩きの楽しみを知らずに、終えてしまうのはもったいない。
ワンディハイキングをする時のコースの選び方としては、地元で人気のコースを優先するべきだろう。
人気のコースなら、土日にはハイカーも多く、安心して歩けるだろうし、道標などもよく整備されているからです。
そんなコースでは物足りない、と考える人もいるかもしれませんが、重要なのは基礎的なことです。
人気なコースで自分の体力、知力、判断力、さらに自分が本当にひとり歩きを楽しめるかどうかを確認しておきたい。
とにかく一度一人で歩いてみて、これからもひとりで行けそうだ、と思えば自信にもつながるだろうし、不安材料があれば、次回にはそれに気をつけて山歩きをすればよいのです。
地元で人気のコースに慣れたら、つぎはワンデイハイキングのコースでも、岩場やクサリ場があるところや、少し長めのトレイルに挑戦してみよう。
このように徐々にレベルアップしていくことが大切。
将来一泊二日の山行を計画している人は、このワンデイハイキングを最低でも10回は経験したほうがいい。
繰り返しているうちに、自分の能力を知り技術を体得することができるし、天候によっては山の様子が一変することもわかってくるから。
一回や二回ではわからなかったひとり歩きの魅力や、山への対処の仕方もしだいに見えてきます。
●ワンデイハイキングは、ひとりで山歩きをするための基本トレーニングです。
日帰りできる山のなかで、大きな不安を抱かずに、自分の山歩きが実験できるわけです。
雨具ひとつザックから出すのでも、それまではみんなが出すから出すという受動的なものだったが、ひとりになると、本当にいま雨具が必要かどうかを自分で判断しなければならない。
能動的な判断が徐々にできるようになったことだけでも、進歩と感じられるはずです。
そして、ワンデイハイキングは、一日に歩く距離は一泊二日の行程よりも距離が長いこと場合があります。
決してワンディハイキングをあなどることはできない。
初心者ハイカーは、フィールドをひとつの実験室と考え、いかに自分の山登りを開拓していくかを模索する必要があるのです。
さらにワンデイハイキングをする時は、懐中電灯(予備の電球と電池を忘れないように)、雨具、地図、コンパス、ガイドブック、水筒、食料、保険証などは必携品。
ワンデイハイキングといっても早立ち、早帰りの原則は同じ。
それぞれの季節の中で日照時間を考え行動すべきだろう。
山行のなかでいかに不安を少なくして楽しむかというのが、ひとり歩きをこれから始めようとしている人の課題です。