帝釈山、義経活躍の舞台となった兵庫県の山

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昔、帝釈山は丹生山明要寺の奥の院に過ぎず、この一体は丹生山といわれていたところだが、登山が盛んになるに伴い、帝釈山に登る人の方が多くなって、丹生山は帝釈山登山の通過点になってしまった。

また源義経が一の谷合戦の奇襲攻撃に使った山道が残っているといわれます。

全般に道標が整備されていて道を誤るコースではなく、道はよく踏まれていて迷ったりするような問題が生じることはないでしょう。だから初心者にも歩けます。

帝釈山への登りでは、四ツ辻が2つあり、ともに町石のある道をとる。
橋を渡ってからは林道を真っすぐ谷沿いに登っていくこと。
適期は9月中~6月上旬。
梅雨と盛夏を除けば季節を問わない。
冬期の積雪は10~15㎝、軽アイゼンは必要。

・歩行時間/約3時間10分
・歩行レベル/一般向(登山は年間6回以上)
・標高/585m
・コース/阪急電鉄・三宮駅(神戸市バス12分)→箕谷・箕谷駅(神戸市バス12分)→丹生神社前→コル→帝釈山→コル→丹生神社→衝原(神戸市バス25分)→箕谷駅・箕谷(神戸市バス20分)三宮駅
・地形図/25000分の1淡河
※この紹介記事は数年前の古いものです。現状とは道や近隣の状況がかなり異なる場合があります。内容は参考程度にとどめて実際に歩かれる方は、必ず最新の地図とガイドブックをご用意ください。

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丹生神社前から見晴らしの良い帝釈山へ(約1時間50分)

丹生神社バス停から北に向かって歩き始めます。
志染川(しじみがわ)を渡ると、まもなく丹生山への参道が始まります。
入口には立派な地蔵尊があり、すぐ山道に変わって左に折れます。

そして徐々に右に曲がりながら坂道を登っていきます。
かたわらに町石がずっと続いているのも参道らしい。

平坦な道に変わってからは、Ⅹ形の四ツ辻を2度通過し、丹生山を見上げながら谷を渡って、そのまま林道を登り詰めると、丹生山系縦走路のガレたようなコルに出る。

それを右にとり、2つ峰を越すと帝釈山の山頂に着きます。
かつては丹生山明要寺の奥の院といわれ、帝釈天を祀った建物があったのがうなずけるほど広い。

現在は二等三角点標石の横に石両が2つ残っていて、それらしい雰囲気が漂う。
展望は南側が開け、六甲山系の西部、菊水山辺りから高取山、須磨アルプス、鑑群山、そして後ろに淡路島などが眺められ、なんとも爽やかです。

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ちなみに帝釈天(たいしゃくてん)は、仏教の守護神である天部の一つ。
妻は阿修羅の娘である舎脂。梵天と一対の像として表されることが多い。
仏教では東南西北のそれぞれに、持国天・増長天・広目天・多聞天(毘沙門天)が仕えることから四天王天と呼ばれることがあります。

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百済王の史跡と帝釈山から衝原へ(約1時間20分)

元のコルに引き返し、縦走路を西にとって丹生山に向かいます。
2つの峰を越えるとスギの高木が多くなり、昼なお暗く、おごそかな雰囲気に包まれます。

そして右にシビレ山へのコースと分かれ、南へ下ると丹生山明要寺跡に着きます。
左の石垣跡は丹生城跡で、南北朝動乱期に南朝方の拠点となり、次いで天正の戦乱期には播州三木城主別所長治の出城になっていたが、羽柴秀吉軍と戦って焼失した。
その横に明要寺跡もあり、兵庫県の史蹟指定を受けています。

明要寺は、丹生山縁起によると541(欽明天皇2)年、百済の聖明王の王子童男行者が開いたと伝わっています。
この聖明王は、日本に仏教を伝えたといわれている百済王朝第26代の王で、童男行者はその王子恵だという。
寺は衰退の時代を経て平清盛が丹生山を、滋賀県にある比叡山にみたてて明要寺を復興し日吉山(ひえさん)権現を祀って参詣したと伝えられています。
山頂までの参道の丁石はこのとき福原の都を起点に、清盛が1丁ごとに建てたという。

右上の丹生神社は山王権現を祀り、明要寺を鎮護する目的で建てられたもので、平成になって修理・改修され、以前に増して立派になった。

下山は城跡の右側の一町石から始まり途中三町石の右側で「衝原」とした標識がある分かれ道をとるとまもなく明要寺の墓地が道の両側に見られます。

さらに下っていくと、今度は左に下る道があります。坂下への道で、義経軍はこれをとった公算が強い。義経軍は職蝉磨の三草山から天神、渡瀬、淡河ときて丹生山を越え、坂下から東下で地理に詳しい鷲尾三郎を家来にし、南下して藍那を経て白川路を下ります。
そして鉄拐山の背後から一の谷の平家の陣屋めがけて奇襲攻撃をかけた。
これが世に名高い、鵯越の逆落しです。

衝原へは右の道をとり、最後は竹林の中を通って志染川を渡ると衝原の集落です。バス停へは5分の所だが、右の奥に箱木千年家があります。
今から1200年前に建てられた民家で、先の阪神大震災にも耐えて現在に至っていて、ぜひ訪れてほしいところです。

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以上、帝釈山、義経活躍の舞台となった兵庫県の山のご案内でした。小さな冒険と大きな感動!これからも楽しい山歩きを続けてください。

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