単独で山を歩いていると、山中で会った人たちから、できるだけさまざまな情報を得たほうが良い。
単独で歩いていると、山中でのリスクもひとりで背負わなければいけません。
その不安を少しでも無くそうと、山に入る前にガイドブック、地形図、役場の観光課、さらにはインターネットなどで事前に調べることはとても重要です。
しかし、それだけで安心してはいけません。
前日までに雨が降っていたりすると、土砂崩れなどの突発事故があった所に出くわすかもしれません。それだけは実際に山に入ってみなければ、わからないことです。
現在の山がどんな状態にあるのか? 予定している登山道の状態はどうか? などの情報を知るために、単独登山者が心がけたいことは、山行中に生の情報をできるだけ多く集めることです。
誰でもそうですが、初めて入る山は不安です。
その不安を少しでも少なくするために、知らないことはなんでも教えてもらおうという姿勢でいること。
恥ずかしいから、面倒だからと遠慮して聞かなかったために遭難したり、道に迷ったりしたら悔いても悔やみ切れない。
そうならないための現地の情報収集のコツを教えます。
入山ロで生の情報を得る
登山シーズンになると、人気のある著名な山には入山口に市や町、あるいは地元の山岳会などの登山相談所が設けられます。
ここでは、登山者カードを記入しながら、登山道の状況などを詳しく教えてもらえるから心強い。
登山相談所では独自の地図を作り、危険箇所をさらに詳しく紹介してくれる所もあるので、オリジナルの地図がある場合はぜひ入手して参考にしよう。
登山相談所が設置されていない時は、入山口にはほとんどある茶店や売店にたずねてみることです。
特に入山口がわかりにくかったり、そこからの登山コースが複数あったりする場合は、迷ってしまう人も多いもの。
そんな時は近くの売店などで聞いてみよう。そういう場所なら、聞く人も多いせいか、わかりやすく教えてくれるはずです。
ここで聞かずに不安を抱えたまま登り始めて、後で道が違うことに気がついて、引き返そうと思ってエネルギーを無駄に使ってしまうのはナンセンスです。逆に慌ててしまって怪我をするかもしれません。
登山道で出会う人と情報交換する
山を歩いていると、少なくとも休日であれば他の登山者に出会うはずです。
実は山を歩いている時に出会った登山者から、情報を得る意味は大きいもの。
自分が向かう方向からやってきた登山者なら、これから向かう道のいちばん新しい情報を持っています。
自分が向かう先に迷いそうな道はないか、崩れている所はないか、あるいは橋の落ちている所はないかなど、これから先の道を、地図を見ながら聞くようにします。
もし、危険な箇所があったら引き返すようにするのもひとつの手だし、その人が切りぬけてきた方法を聞いて参考にするのもよいでしょう。
単独登山者の中には、孤独を愛する人が多いのか、挨拶をしただけで、駆け抜けるように行ってしまう人もいます。
しかし、すれ違った時、ひと言かふた言だけでも話を交わすことによって情報交換はできるのです。
自分の情報をたしかめる意味でもこうした会話は必要です。
困った最近の単独登山者たち
困ったことに、最近の単独登山者の傾向として、道がわからなくてもひとりで見つけたいという人も多いらしい。自分で道を見つけることが楽しいという人です。
山小屋などで見かけるのは、そういう単独登山者がむやみにウロウロと周囲を徘徊していることです。そして、山小屋の主人が声をかけると、初めて道がわからないと答えるのだそうです。
山小屋にいる人がいちばんよく山を知っているのだから、無駄な労力を使う前に聞いたほうが賢明です。
やっぱり現地人の情報は役に立つ
現地で山小屋のスタッフや、登山者に教えられたことは非常に役立ちます。
道だけではなく、ガイドブックの間違っている箇所や、うまい水が飲める所、あるいは下山時に乗るバスに間に合うための時間の配分方法、帰りがけに寄れる温泉地にある共同浴場、はたまた駅前の焼き鳥のうまいところとさまざまな情報を得ることができます。
どの情報を使うかは本人の自由です。
しかし、会話をしないことにはひとつも情報は得られない。
山歩きをより充実させるためにも、自分のアンテナを大きく広げ、だれにでも声をかけるようにして情報を集めることが大切です。