豊かな自然を歩く技術と、疲れない歩き方

日ごろからトレーニングして足腰を鍛えておけば山旅の途中でバテることはないだろう。特に下半身の筋肉をつけるために、毎日スクワットをしたり、できるだけ階段を使ったりすれば、知らないうちに筋力がついて驚くだろう。

トレーニングする時間がとれないと言うなら、お買い物や通勤時や観光に出かける時の歩き方を少し意識するといい。

歩き方のテクニックとしては、まずはリズミカルな歩き方を心掛けるようにしよう。ややきついと思うレベル(自分の限界の6~7割程度のつもりで)を上限に、30分から1時間は続けて歩けるスピードが適切だ。あいまいな表現だが、慣れてくればつかみやすい。

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また、下り道では、足に衝撃が少ない歩き方も要求される。ドスンドスンではなく、そっと足を置いてジワッと力をかけるような(足音が聞こえないような)歩き方である。これは、衝撃からくるひざや筋肉の故障、疲労を防ぐだけでなく、転倒などの事故を防ぐことにもつながる。

さらに、トレッキング用のストックは山歩きでは大活躍する!

平地や上りでは推進力の補助となり、下りでは前述の着地の衝撃を和らげる効果がある。また、あらゆる場面でバランスの補助ともなる。

ただし、脚力の一部を腕で受け止めるわけだから、少しだけ腕の力が必要となる。腕力が不足した状態でストックを使用するとかえってわずらわしいものとなって危険でもあるのだ。また、障害物の多いコースではそれをクリアしつつ効果的に突くテクニックが必要となる。

【基本的なストックワーク】

●平地を歩く
垂直に突いたときにひじが直角になるくらいが適正な長さ。歩行リズムに合わせ、少し後ろに押し出すように突いていく

●登りの場合
平地より短め(斜度がさつければより短めに)に調整する。前足の横あるいは少し前に突き、後ろに押し出して推進力の補助とする

●下りの場合
平地より長めに調整する。下りの衝撃を和らげ、バランスをとるのが目的なので、足の着地より早く、やや前方に突く

【大敵〝マメ〃の対処法】

マメは予防が第一。靴下のしわなどの違和感はもちろん、少しでも「当たっているかな?」「こすれているかな?」と違和感を感じたら、その部分に靴ずれ防止テープやバンドエイドなどを貼って対処しょう。また、専用のパウダーを振りかけたり、固形石鹸をこすりつけておくのも効果がある。

汗で靴下が湿ってくると、足が動いたときに皮膚が引きずられてマメができやすくなるので、休憩のときに靴を脱いで靴下を乾かしたり、場合によっては替えの靴下に履き替えるのも有効。

マメができてしまったら、針をライターなどで加熱消毒してから表皮に刺し、中の水を抜いて消毒しておく。皮は破らないこと。マメから浸出液がある場合は、バンドエイドや専用シールなどを貼っておく。

大きく皮がむけてしまったような重傷の場合、感染症予防にやけど用の抗生物質入り軟膏を塗ったガーゼを当て、帰宅したら皮膚科で治療を受けたほうがよい。

【ソックスを侮るなかれ】

ひと昔前のゴツい登山靴の時代は、ソックスは厚手のウールを2枚重ねというのが普通だった。しかし、ブーツの素材や構造が変わった現在では、やや厚手のスポーツソックス・タイプのものを1枚、というのが普通。素材もウール100%、ポリエステルなどの化学素材、あるいはそれらの混紡といろいろある。一般的に化繊のものは吸汗性・速乾性に優れ、ウールはぬれても保温性に優れる。コットン製はぬれると冷たく、乾きも遅いので不向き。

また、織り方に工夫を凝らし、サポーター効果を持たせたものも多い。マメ防止、衛生面からも、できる限り毎日乾いたものを着用したい。

【ストレッチングも技術のひとつ】

毎日のウオーキングの前と後にはウオーミングアップとクールダウンが必要である。特に効果的なのがストレッチングで、ウオーミングアップで行なえば脚のけいれんを起こりにくくする予防的効果があり、クールダウンでは疲れを翌日に残さない効果がある。ただし、行動終了後のストレッチングは時間を置くと効果が薄くなるので、一日のウオーキングが終了したらすぐに行なうのがよい。

どちらも、ストレッチングする部分の筋肉をゆっくりと伸ばしてゆき、痛みを感じる一歩手前の段階で30秒から1分間くらい停止したまま保持する。ゆっくりと深呼吸しながら行なうのがポイントで、けっして勢いをつけて反動で伸ばしたりしないこと。また、必要に応じて2、3回くり返すとよい。

また、ウオーミングアップは体をほぐし、動きをスムーズにすることによって、ケガなどを防止する目的もある。ラジオ体操などに代表される軽い運動を同時に行なうと、より効果的だ。

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