神戸六甲山系の西北に横たわる丹生山系は、六甲山系のにぎわいをよそにひっそりとたたずみ、自然環境もたいへんすぐれています。
そんな中にあって稚子ガ基山は帝釈山と人気を二分する山で、おおらかで堂々とした山容は、この山系随一と折り紙をつけたい。
柏尾台までは道標がないため初心者には難しいかもしれないですが、慎重に歩けば途中からはずっと道標があって道を誤ることはない。
このコースは神戸市の「太陽と緑の道」に編入されていて、よく踏まれたコースです。
志久ノ峠への道は石コロが多い。
1カ所橋を渡るところは橋げたが狭いので気をつける。
無動寺への道で、国道を渡る所は坂道なので車のスピードを計算して渡る事。
適期は9月中旬~6月上旬。
梅雨と盛夏を除けば季節は問わない。
冬期の積雪は10~15㌢、軽アイゼンは必要。
・歩行時間/約2時間40分
・歩行レベル/一般向(登山は年間6回以上)
・標高/596m
・コース/阪急三宮駅(神戸市バス12分)→箕谷→柏尾台→丹生山系縦走路→稚子ガ墓山→無動寺→福地→箕谷駅
・地形図/2万5,000分の1有馬
※この紹介記事は数年前の古いものです。現状とは道や近隣の状況がかなり異なる場合があります。内容は参考程度にとどめて実際に歩かれる方は、必ず最新の地図とガイドブックをご用意ください。
箕谷から照葉樹林を登り、稚子ガ墓山へ(約1時間40分)
バスを箕谷で降り、陸橋を渡って国道右側の歩道を歩き、2つ目の辻を右にとって広い一本道から柏尾団地を目指す。
眼前には目的の稚子ガ基山が大きく迫り、周辺には農地と自然がいっぱいの山野が広がる。新柏尾橋を渡ると、間もなく柏尾団地に入り、突き当たりの大塚山北公園を右にとってすぐ山道に入る。
これが志久ノ峠越の道で、初めは舗装されているが、ほどなく地道に変わり、小橋を渡ってからは石コロの多いガラガラ道になって歩きづらい。
それでも昔の山道らしく、しばらくの間は石畳も見られ、谷沿いの雑木林の中をゆるやかに登っていきます。
やがて谷川が細くなりだした所で左に道を分ける。
そこが丹生山系縦走道との交点で、標識も立つ。
稚子ガ墓山へは左の谷沿いに登り、300mばかり先で左にカーブして斜面を登り出し、尾根に出てからは西に向けて登る。辺りはすっかり照葉樹の林。
特に南側は濃密で暗い。
途中でロープを固定した急な坂を登ると視界が開け、山名由来の椎子ガ墓にやってくる。
石積みの中にツバキの木が1本ある。
戦国動乱期、羽柴秀吉の軍勢が三木城を攻めたとき、別所軍に加担した丹生山明要寺を焼き払い、そのとき逃げまどう種子(児)たちも皆殺しにした。
村人たちは哀れな稚子たちの亡きがらを山上に葬ってやり、石を積んで塚にしたといわれています。
それが山の名前の由来になっています。
そんな哀れな物語とはうらはらに、南側はかつぜんと開け、六甲山系西部の山々から播州の山々も見渡せてすこぶる爽快。
三等三角点標石のある山頂はすぐ隣りだが、こちらは雑木に囲まれて展望は望めない。
稚児ガ墓山から福地(約1時間)
下山は縦走路を西に下って無動寺へ向かう道との辻に出る。
標識どおりに左に下り、昼なお暗い高木の照葉樹の繁る下を通るが、そこを過ぎると右下に国道が見えかくれし、ほどなく国道428号脇の昔の車道に降りる。
しばらくの間その道をたどり、対岸に無動寺の道標をみて国道を渡れば無動寺に続く道にのる。
2つの池を分け、次に無動寺とした標識のある参道をとって無動寺の境内に入る。
そこには本堂と茅葺きの庫裡があって、なんともいえない気品が漂ってくる。
左隣りに鎮守社である若王子神社があり、国の重文らしく、これまた構築が素晴らしい。
参道に並ぶ四国八十八カ所のミニ石仏をみて先程の車道に入り、やがて志染川の手前で福地バス停に着きます。
以上、神戸六甲で静かな隠れ里、悲しい歴史が残る稚児ガ墓山を登るのご案内でした。小さな冒険と大きな感動!これからも楽しい山歩きを続けてください。