かつて映画「植村直己物語」の中で、植村直己役を演じた西田敏行さんの台詞に「今はお金さえあれば登れない山なんてない。エベレストでもどこでも登れてしまう。でもそれじゃダメなんだ!」と叫ぶシーンがあります。
2014年は雪崩の危険性から、エベレスト登山の一時禁止(非公式)がネパールより通達されています。
その中で中国人登山家であり資産家の王静(Wang Jing)氏が、数人のシェルパを雇って、5月23日にエベレストに登頂しました。
しかしその方法はヘリコプターを使って、本来の登山ルートをショートカットしたというものだった。
なぜ、ショートカットしてまで、登頂にこだわるのかというと、王氏が6カ月間に七大陸のすべての最高峰に登頂するという大掛かりな計画があるからだ。
「6カ月で7つの最高峰に登るのは簡単」と語っています。
考え方が、まるでスタンプラリーだ。
王氏の実績や経験はここでは語りませんが、お金にものを言わせた登頂はもはや<冒険>ではない。
単なる観光旅行の1スポットだ。
冒険とは、人間の限界ぎりぎりのところで困難な環境に挑戦して、自分の身体と知恵と勇気を振り絞りながら一歩一歩進んで行くものではないか。
なんだか虚しいというか、先人達の冒険が軽いものになるような、そんな気がしてきます。
だから、お金持ちの道楽だと、簡単に割り切れない部分がある。
今回参加したシェルパ達は、登頂経験の浅いもの達ばかりだったという。
ベテランのシェルパ達は、今年の登山は4月の遭難を受けて<死者たちに対して尊敬を欠く>と考えたから参加しなかったのだ。
人間にとって<山>とは、日本でも死者の還るところ、神の棲むところと考える神聖な場所。
ベテランシェルパ達の言葉は、そのことを物語っている。
私たちは500mに満たない低山でも、自然を司る存在に対して「山に入らせてもらっている」という気持ちを忘れてはいけないと、今回のことで思いました。
●Facebookでたくさんのコメントをいただきました。
◎Eさん(女性)
日本の登山は、神に近づく、神の懐に入らせてもらう為のもの。
西洋の登山は
征服するものと聞きました。
今回の登頂の意味なし。
○遊歩
征服するにも冒険的な征服と、名誉欲を満たしたいだけの偽善的な征服とありますね。
8000m以上は技術や体力的なこともシビアでたいへんなのはわかりますが、それを差し置いても今回のやり方は個人的に受け入れがたいものです。
◎Kさん(男性)
お気持ち、お察しいたします。
私も聖俗も区別のない畏れ多い輩を見ると少々憤ってしまいます。
この中国人の山の問題ももちろんですが、我ら日本の民も、天が見ておられる、神が見ておられる、先祖の霊が見ておられる、との意識が欠けてしまっている気がしてなりません。
○遊歩
確かに山の日の制定で本来の山や自然に対する意味が、単なるレジャーになってしまうというのは、先人達が守ってきた想いを無くしてしまうことにもつながりやすく、とても悲しいことです。
だからこそ、こうして伝えることの意味、話し合うことの意味が出てくるのだと思います。
◎Kさん(男性)
私は祝日や行事とは日本人の無自覚的な宗教心を持つ日本人が神、霊、自然、先祖、由縁など日常を離れ聖俗を意識する日と思うておりますし、元来そうあるべきものと聞き及びます。
単に経済活性化だのなんだのと俗にまみれた事由で制定するのは如何なものかと私も思うております。
◎KKさん(男性)
テレビで観て、本当に残念でしたが、イモトの方が本当の登山家ですよね。
彼女は本当に残念だったと思う。
本来の方法、ルートを取らない登山は登頂と認めないと、行ってやればいい。100mだって追い風が強いと参考としか見られないのだから。
○遊歩
そうそうイモトTeamの方は本来のルートをそのまま歩もうとしていましたから立派です。
私もとても楽しみにしていたのですけど、また挑戦して欲しいと思ってます。番組の資金力が持つかどうかという問題がありますが(^_^;
今回の登頂も登頂と認めるか否かで議論されているそうですが、なにぶん登頂した中国の登山家が莫大なMoneyをネパールに寄付したそうなので、そこは大人の事情が働くかもしれません・・・・嫌だけど。
◎Sさん(女性)
イモトさんのは残念ですが中止になって良かったと思っています。
ネパールのシェルパの人達が今年は出来ないと言っている中、強行なんてしてはいけないのです。
命がけなのです。
山を舐めてはいけないのです。
それと、あの顔の腫れ方は尋常では有りませんでした。
歯を治療するだけで、あの様に腫れる事は何かアレルギーだと思われます。
そんな体調では思う様な登山も出来なかったと思います。
話がそれましたが、山には尊敬の気持ちを持ち登って欲しいと思います。
○遊歩
全くその通りです。山には山の神様がおられます。
山があるから川に水が流れ、大地を肥やし、海を豊かにしてくれます。
そのことに感謝することを忘れてはいけません。
それから体調が思わしくないときや、不安を感じるときは山に入るのは危険です。
低山でもなめてかかると遭難することだってありますから。