おらが富士日本一、日本各地、お手軽登頂、地元愛着、頂より高く

富士山の世界文化遺産登録が今月下旬に決まる見通しになりました。
実際に世界遺産となれば、外国人観光客を含めたブームが巻き起こり、現地はごった返すに違いありません。

混みあう観光地を避けて、日本全国にある「富士」と名のつく別の場所へ行ってみてはどうだろう。

yuho2013-06-04-2

●秋田県大潟村に「日本一低い富士山」

その名も大潟富士。
海抜はなんとゼロメートル。

大潟村は八郎潟を干拓してできた村で、村内はマイナス3~4メートルになっている。

大潟富士は周囲からの高さが3・776メートルと、富士山の千分の一になるように造られた富士山だ。

直径21・37メートルだが登山道は2つ。

階段が用意され、いずれも23段。慎重に登り始めると、わずか16秒で登頂できた。山頂に立つと広大な田園風景が広がる。

それにしても低い。

標柱には「日本一低い山」と表示してあるが、「ヤッホー」と叫ぶ気にもならない。

周りの桜並木の半分以下の高さで、離れて見てみると盛り土という感じ。車で走っていると見逃してしまう。

秋田市内から家族3人で訪れた20代の主婦は「赤ちゃんサイズでいいかも。もっと宣伝すれば観光客が来るのに」と笑う。

麓には記念スタンプが置いてあるが、以前は登頂者名簿もあった。

名簿を保管する大潟村役場で見せてもらうと、県内以外に関東地方の登山客が多く「登頂証明書が欲しい」「サイコー!」といった書き込みがあった。

大潟富士は1995年に秋田県測量設計業協会が設立20周年を記念して造成した。

「富士山の文化遺産登録をきっかけに大潟富士もPRしていければ」。

大潟村役場産業建設課の工藤修功さんは、花見目当ての観光客の誘客を考えている。

秋田県には低い富士山がもうひとつある。

秋田駅から南へ徒歩10分。住宅地にそびえるのが明田富士山だ。

富士山と関わりがあったり、姿が似ていたりする郷土富士は全国に321あるといわれる。

明田富士山の標高は35メートルだが、日本山岳会から日本一低い富士山として認定されている。

ただ容姿は小高い丘で、富士山のような形ではない。

鎌倉時代に富士太郎という豪族が居を構え、山頂に富士権現を祭ったことが山名の由来になっている。

富士山登口から急な階段を登っていくと、わずか3分で山頂に着いた。

体が温まる途中で山頂を迎えたが、ほほをなでる風が気持ちいい。

山頂の広場からは秋田市中心部のビル群などが一望できる。

サイクリングの途中で立ち寄った布袋屋和男さん(69)は「富士山と聞いて冗談だと思っていた。低い山だけど階段はきつい」と笑った。

かつて秋田市内は沼地が多く、明田富士山を削った土で埋め立てた。

明田町内会会長の加藤長二郎さん(66)は「格好が少し悪いけど、今の秋田市に貢献した恐れ多い山」と古地図を持ち出して説明してくれた。より親しんでもらうために傾斜が緩い登山道の整備が必要という。

●富士山信仰盛んな江戸時代に、旅が困難な人のために造られた富士塚

関東地方を中心に300以上存在するといわれるが、埼玉県所沢市の荒幡富士は高さ16メートルと最大級だ。

旧荒幡村に5つあった神社の合祀(ごうし)を機に富士塚も移築し、村民融和のために築かれたのが荒幡富士。

1884年から15年かけてのべ1万人の村民が土石を運び、築き上げた。

西武狭山線の下山口駅から徒歩15分。

荒幡富士は「荒幡富士市民の森」の中にある。

見上げるとゴツゴツした山肌。

つづら折りの登山道は約80段の階段だ。

晴れていれば、山頂からは丹沢山地の向こうに本物の富士山も見える。

東日本大震災では山頂部分が損傷した。

これまでも何度も崩れ、そのたびに地域の人たちが修復してきた。「手がかかるんですが、修復となると、すぐに人が集まるんです」。荒幡富士保存会の沢田章二朗さん(75)はこう話す。

地元の人たちの荒幡富士への愛情は、本物の富士山頂にも届く勢いだ。

 

●人気映画に登場の老舗銭湯、壁絵詣で、全国から

yuho2013-06-04-3銭湯マニアの聖地のひとつが、下町情緒が残る東京都北区滝野川の稲荷湯だ。

男湯の壁絵は西伊豆から見た富士山が描かれている。

昭和の雰囲気を残した銭湯は映画「テルマエ・ロマエ」にも登場した。

開湯100年以上の歴史を刻む稲荷湯だが、その壁はほとんどが富士山が描かれてきた。

横7メートル×高さ2・5メートルの壁に鮮やかに描かれた富士山の存在感は圧倒的で、開放感を感じる。

だが壁絵は湯気や湿度の高さから傷みが早い。

稲荷湯では銭湯絵師に毎年書き換えてもらっている。

「富士山の壁絵を男湯と女湯で一時期替えたら常連客から苦情が来た。それからは男湯の壁はずっと富士山なんですよ」と5代目の土本公子さん(50)は明かす。

稲荷湯には毎日100人程度が訪れるが、週末には遠方からの来客も多く、九州や関西地方から来るという。

世界文化遺産登録をきっかけに、銭湯の富士山詣でも広がりそうだ。

2013/06/03  日経MJより

スポンサーリンク

シェアする

フォローする

スポンサーリンク