40代男性の体験より~~~。
2006年10月北アルプスで大量遭難があった日に、私は南アルプスの仙丈ヶ岳に登っていました。
朝から雨が降り、天候はよくありませんでしたが、行ってみようということで登山を開始しました・・・
悪天候のなかで登山を強行、視界不良のために分岐点を誤るが強引に下りきる
途中から風が強くなり、稜線に出たときはすごい風とみぞれ混じりの悪天候でした。
なんとか小仙丈から仙丈ヶ岳頂上を抜け、下り始めると、まもなく天候がさらに急変して、ブリザード状態になりました。
きちんと現在位置を確認するべきでしたが、激しい寒さと、何度か来たことがある山という油断もあって、北沢峠への分岐点を見過ごしてしまったようです。
しばらく進んだあと、時計の高度表示を見て「おかしい」と気づきましたが、正しいルlトのある稜線までもどるのは危険と判断。
現在のルートを示す赤いテープが見えましたので、それをたどって風の弱い樹林帯に下ることにしました。
途中で日が暮れましたが、目印のテープが続いていましたので、ライトの明かりを頼りに慎重に歩いて行きました。
装備としては全員(男2人、女2人)、ヘッドランプ、ダウンなどの防寒着、非常食を持っていました。
目印のテープを見失ったら、そこでビバーグと決めていましたが、どうにか車道に出ることができ、大まかな位置がわかりましたので、車道を歩いて目的地にたどり着くことができました。
(東京都大田区Bさん〔男・40代〕)
台風並みに発達した低気圧により全国で同時に遭難が多発。
この日、Bさんたちは仙丈ヶ岳で遭難寸前の厳しい体験をしていた。
仙丈小屋で一時待機し、やはり下山することにして日時前に出発。
その後、馬ノ背の分岐を見過ごして丹渓新道へ入ってしまうのだが、日時16時~16時30分ごろには変だと気づき始め、17時にはルートを間違えたことを確信したという。
しかし、猛吹雪の稜線へもどるのは危険と感じたので、そのまま下り続けることを選んだ。
道迷いのときは引き返すのが原則だが、このときのBさんの判断は、総合的な状況を考慮したもので正しかったと考えられる。
丹渓新道はトレースも少なく、踏み跡が入り組んでルートがわかりにくかった。
日没後になると道はまったく見えず、ヘッドランプで木を照らし、赤テlプを探しながら少しずつ下山した。
テープが見えなくなったらビバークしようと決め、何度も立ち止まり、メンバー同士で励まし合いながら下山した。
21時ごろ、北沢峠からの林道に出た。
別行動の仲間へ連絡をとりたかったので、車を停めであった仙流荘へと歩き続け、駐車場へたどり着いたのは深夜2時だった。
それぞれの場面で冷静な判断を下しながら、パーティが危機に陥るのを防止できている。
ビバークするための充分な装備を持っていたことが支えとなって、厳しい状況を切り抜けられた点に注目したい。
遭難事故寸前から学ぶ登山の教訓
①半日先の天候を予測する。または充分な気象情報を収集する。
②悪天候時には行動を中止する。
③行動中止が不可能な場合に限り、安全面に最大限の注意を払いながら行動する。
(参照:山と渓谷)