山を歩いていていると、どうにも体が思うように動かない、だるい、足が重いと感じる時があります。
暑い日などを除き、通常の山登りでそう感じる場面としては、グループや友だちと歩いていて、相手のペースに合わせて歩いている場合や、あともう少しで頂上だ、展望が良いところだから、そこまで頑張ろうとする場合がバテに繋がることがあります。
山という非日常的な場所にいると、自分を見失いがちになるので、自分をコントロールする術を知る必要があります。
●エネルギーに変換しやすい甘い行動食と、頑張る気力が大切
山登りをする人なら、レベルや経験を問わず、ほとんどの人がパテた経験があると思います。
バテの原因は自分の運動能力以上のハイペースで歩いたり、立ち止まるのが嫌で食事をとらなかったことなどがあります。
しかし、単独行の場合は、意外とバテは少ないと言われています。
1人で山を登っていると、自分の歩くペースがわかって、ペース配分がしやすくなるのと、もしもの時に備えて無理をしなくなるので、パテが少なくなると思われます。
そして、単独行をする人は登山中にパテないために、ゆっくり歩くことを心がけたり、事前にトレーニングをしている人が多いの理由です。。
●疲労からくるバテ対策
登山中のパテでいちばん多い原因は「ハイペースで歩きすぎた」ことからくるバテです。
いわゆる疲労パテといわれるもので、ハイペースになりがちな単独行の初心者に多い。
「1人で歩きながら調子がいいと、ろくに休まずどんどん歩いてしまう。ジョギングでいうランニング・ハイみたいなもの。しかし、気がつくともうバテバテな状態になっている」
「次の道標まで行って休憩しよう」「次に展望の良い場所に着いた時に休憩しよう」などと思っていると、必要以上に歩き続けてしまうことがあります。
これは休憩をとらずに、疲労を溜めこんで歩き続けた典型的な状態です。
疲労からくるパテは、一度起きるとなかなか回復しないものです。
だから適度な休憩をし、そのつど疲労を断ち切るようにする必要があります。
そのためにも早く自分の力量を知り、過信せずにぺース配分を心がけるようにすることが大事です。
●シャリバテを防止するための対策
次に多いのが「食事をとらなかった」ためにおきるパテです。
昔から「シャリバテ」といわれるもので、グループ登山と違い、食事をゆっくり楽しめなくなりがちなひとり歩きに多いバテです。
誰でもちょっと空腹を感じたら、ポケットに入れているビスケットやラムネを少し食べると、その場で空腹感が満たされてしまいます。
しかし、それではすぐガス欠になってしまいます。そうなるのがわかっているのにすぐ歩いてしまうのが単独行者の特長かもしれません。
シャリバテになったら、休憩をして、まず甘いものを口にします。
特に、飴、羊かん、チョコレート、ミカン、オレンジなど糖分の商いものを選ぶといい。
飲み物は糖分の入ったもの。糖分の高いものはエネルギーに変換しやすく、即戦力になってくれます。
ただし、夏の暑い時期は糖分だけだと熱中症になるかもしれないので、塩分の補強も忘れずにしましょう。塩をひとつまみ口にするとか、塩飴を舐めましょう。
食べるタイミングですが、できればバテてから食べるのではなく、歩きながら少しずつ糖分を補給することを心がけたいもの。
大切なのは後であわてて補うのではなく、前もって用意しておくこと。
それにはふだんから糖分ばかりでなく脂肪、タンパク質などバランスのとれた食事を心がけておくことも大事です。
限られた山の食事では、なかなか良質の脂肪、タンパク質を得ることは難しいからです。
●バテの原因は体のオーバーヒートにもある
季節的に最もバテやすいのは夏です。
暑い樹林帯を歩いている時は、体がオーバーヒートしないようにぺースダウンをはかったり、衣類のボタンをひとつ外して熱を放出したり、適度に水を飲んだりします。
もしも、バテてしまったら、なるべく風通しのよい場所を選び衣服をゆるめて休むこと。
塩分の補給も忘れずにしておきましょう。
ただし大の字になって寝転がってしまうと、これから歩く土気に影響し、よけいパテやすくなるので、自分を励ます感じで回復を待つようにします。
単独の場合はバテてもだれも助けてくれないのです。気力をしっかり持つことが大切です。