快適な山岳テントに求められる8つの条件と、登山用のテントの選び方

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最近、テントを求める中高年の年齢層のお客さんが増えているという。
中高年になって登山を始めた方は、最初は小屋泊まりを体験して泊まりがけの山に慣れていきます。
ところが、7月、8月の夏山ハイシーズンともなると、人気のある山域の小屋はどこも超満員。
そこで、少し山歩きに憤れた方々が、他人に気がねせず、ゆったりと山の夜を過ごしたいということで、テント泊にトライしようという例が増えています。

ひとりの就寝スペースが畳一畳分もない混雑した山小屋で、ほかの人に迷惑をかけたり、かけられたりしたくない、プライバシーを確保できる快適な就寝空間が欲しい、という動機で購入。
でも、初めての山岳用テントにとまどう人も少なくないようです。

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登山用テントの構造は平地で使うアウトドア用のテントとは根本的に異なるもの

テント泊山行を始めたい人が、一番最初にだす条件が、軽いテント。
テント泊の場合、シュラフやマット、炊事道具、といった装備や、自炊の食料も必要なわけですから、小屋泊まりでは10キロだった荷物が、15キロ以上に増えます。

だからテント自体1グラムでも軽いに越したことはありません。
軽量・コンパクトであるということは、テントに限らず、どの登山用具にも要求される重要な条件ですが、最近はとくにその傾向が顕著です。
とにかく軽い、ということを気にします。
しかし、思いのほか狭くて寝苦しかったり、結露や風雨の影響にびっくりしたりで、一回のテント泊で懲りてしまう人もなかにはいるようです。

軽さだけに注目する前に、まずは、山岳用テントとは、どのような性格の商品なのか、どのような性能を要求されているのか、知っておく必要がありそうです。

まず平地のアウトドアレジャーで使うキャンプ用テントと異なり、山岳周のテントは、耐風性、携帯性を優先させるため、居住性をある程度犠牲にしてコンパクト化を実現しています。また、山の気象に対応する数々の工夫が凝らされています。

山岳用テントに必要な機能とは

無雪期のテントの選び方ですが、現在の定評ある山岳用テントが、どのような作りになっているか、確認してみましょう。
まず、踏まえておきたいのは、山岳周のテントは、大部分がドーム型の構造になっているということです。
ソロから4人用くらいまでの大きさなら、特殊なものを除き、テントを支えるポールは2本。
防水フライシートを備えた、軽量なリップストップナイロン製のダブルウォールテントが基本形です。

①グランドシートの四隅の縫い目に、防水対策がしっかり施されています。
②ある程度の大きさがある、しっかりした構造のベンチレーターが適切な位置に装備されています。
③設営した際、テントとフライシートの間に過度な間隔ができる。
④ポールスリーブの中間あたり(接地部分と天頂部の間)に張り綱が設けられています。
⑤ポールが修埋しやすい構造になっており、また、リペアチューブが付属しています。
⑥ポールスリーブの一方の端が閉じた袋状になっています。
⑦出入り口の構造が扱いやすく、適切な位置にある。
⑧本体内部の天井や壁面に、ループ、ポケットが備えられています。

テント内への浸水と結露に対応するために

①はテント本体の防水性に関するチェックです。
極端な話をすると、天気さえよければ、どんな作りのテントでも、それほど不都合はない。
性能差が出るのは悪天時です。

まず注目してもらいたいのは、グランドシートの防水性。
最近は、ほとんどの日本製テントが、グランドシートの防水布を壁面まで立ち上げた、バスタブ形という構造を採用しています。壁面とグランドシートの縫い目を地面から離し、そこから浸水することを避けるためです。
しかし、四隅の縫い目がウイークポイントとして残っています。ここの目止めがいい加減だと、すぐ浸水してしまいます。
定評あるメーカーの製品なら、スリーブに沿った縫い目にはたいていシームテープが貼ってありますが、その周囲の縫い目には目止めが施されていないことがあります。
そんな場合は、チューブ入りのシーリング剤による目止めが必要。シーリング剤が付属しているテントもあります。

次にテントの快適性で問題となるのが、本体内部の換気や結露対策です。
通気、換気に問題があると結露がひどく、浸水と勘違いする人もいるくらいですから、②のベンチレーターは不可欠な装備です。暖かい蒸気は上昇するので、通常、人の頭くらいの径のものが、壁面の天頂部に近い位置に設けられています。
なかには、低い位置に荷物の出し入れ口兼用のベンチレーションを備えた製品もあります。
低位置な分、口径を大きくして、換気効率をよくしているようです。

結露対策は、ベンチレーターだけでなく、テント全体の作りも関係するようです。
結露には③の要素も関連してきます。
全体的には、ポールスリーブ自体に10㎝前後の高さがあると、設営した際、フライシートと本体に適切な隙間が生まれます。
もちろん、フライシートの張り網をしっかりと張ることも重要ですが。
さらに、ポールスリーブと本体がメッシュ生地で接合されている製品は、フライシートと本体の問の空気が対流するので、より結露しにくいといえるでしょう。
ただし、メッシュでないものとくらべて、耐久性ではやや劣るようです。
ポールスリーブにメッシュを採用していない製品では、やはり、ベンチレーターを大型にして結露に対応しているようです。

山岳用テントは風に強い構造になっている

平地用のテントにくらべ、山岳用テントの天井が低い埋由のひとつは、耐風性向上のためだが、さらに④の項目も重要だという。
以前は、テントの四隅から綱を張るタイプもあったのですが、張り綱は④の位置に設けられているほうが、風に対して圧倒的に強くなります。

本体といっしょにフライシートもこの位置の張り綱で引っ張るモデルは、フライのばたつきが少なくなります。
また、大人数用のテントで、3本以上のポールを複雑に組み合わせたジオデシック型というテントもありますが、それも、居住空間を広げるだけでなく、耐風性向上の工夫です。

ところで、耐風性を考慮した山岳テントではありますが、強風でポールが破損するというトラブルはめずらしくありません。
ポールのリペアチューブが付属していれば、現地でなんとか応急処置できる可能性もあります(ポールが破損するような強風が吹き荒れている場合はまず山小屋に避難するべきですが)。
その場合、ガムテープなどが必要です。
ポールをつなぐショックコードが切れることもあります。
ボールの先端(石突き)が簡単に取りはずせる製品ならば、帰宅後、部品を購入して、ユーザー自身でも修理可能です。

山岳用テントの使いやすさを求めて

雨や風のなかでテントを設営する場面も多いですから、できるだけ設営は簡単なはうがいい。
⑥はちょっとした工夫に見えますが、ポールを差し込むだけで一方の端が同定さるので、テントの周りをあちこち移動する必要がなく、ひとりでも素早く設営できるようになりました。

フライシートの装着にプラスチックバックルを採用したり、設営方法はメーカーごとにいろいろ工夫されています。

使い勝手の面では、⑦出入り口の位置と構造もチェックしておきましょう。
本体の長辺側に出入り口がある製品と、短辺側にある製品のどちらがいいか、一概にはいえません。
通常、出入りがしやすいのは長辺側に出入り口が設けられた製品ですが、狭いスペースにテントを張る場合、短辺側に出入り口があるほうが便利でしょう。

現在、出入り口の作りは、ファスナーで逆U字形に大きく開くタイプが主流。
たいてい本体と同じ生地のフラップとメッシュ・フラップの二重構造になっていますが、メッシュを外側に配した製品のほうが、換気の調節は簡単です。

そのほか、⑧のような装備があれば、テント内の物の磐埋に役立ちます。
ループに細引きをわたして、ぬれたタオルを干したり、就寝時、はずした眼鏡を床においてうっかりつぶしてしまうことも防げます。

なお、チェックポイントにはありませんが、テントの色にも注目してください。
以前は山のなかで目立つように、派手な原色が採用されていましたが、最近はアースカラーの製品が増えています。
グレーや、ややくすんだグリーンのテントだと、中にいて落ち着くという人が多いですね」

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山岳用テント選びは、軽さを優先するか、使い勝手をとるか

①から⑧までの項目は、山岳用テントに必要とされる条件だが、定評あるメーカーの製品ならば、多少の差異はあれ、これらの条件を満たしている。
ここから先が実際のテント選びで悩むところかもしれません。
基本を踏まえたうえで、さらに一歩進んだ機能をとるか、軽さをとるかは、使う側の考え方しだい。
一般的には、両者をうまくバランスさせた製品がおすすめです。

そしてシェアを拡大しているゴアテックス製テント、また、個性的なデザインが多い海外メーカーのテントという選択肢はいかがだろうか。

ゴアテントに泊めてもらったところ、結露が少なく快適だった、という経験から愛用する人が増えています。
本体に防水性がある点を活かして、ゴアテントをフライなしのシングルウォールで使用すると、結露が少ない、設営が簡単、軽最化につながるという利点がある反面、雨天時に出入り口を開けると雨が吹き込む、靴や装備をすべて本体内に入れなければならない、といった不自由さを覚悟する必要があります。
また、寒い季節は、壁面から排出された蒸気が凍り付いて通気性が低下し、結露が多くなります。
冬季には外張りが必要です。

海外メーカーのテントはサイズ設定が日本の製品に比べて大きく、大柄な人でも居住性がいいという印象です。

しかし、雨が多く湿度の高い日本の気候に合わせて作られていないので、縫い目に目止めが施されてなかったりと、不満な点も多いという。

以上、快適な山岳テントに求められる8つの条件と、登山用のテントの選び方でした。

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