中高年登山者の遭難事故を防ぐ、山行中の病気の予防と対応(2)

高山病

山を歩いているときにかかる病気といえば、代表的なものに高山病や熱中症などがあります。
特に夏場などに標高1000mに満たない山に登るときや、尾根をずっと歩き続ける時に熱中症になりやすい。
最近は昔と違って山の気温も高めになってきているので、気候や環境に応じた対策を知っておくといい。

スポンサーリンク

高山病は高齢者の場合、標高1500メートルから要注意

[症状]
頭痛、吐き気、脱力感、立ちくらみ

これまで、2500メートル以上では高山病にかかる可能性があると言われてきたが、いまでは、2000メートル以上ではその可能性があるとされている。

さらに、70歳以上の高齢者であれば、1500メートル以上から気をつけなければならない。となると、国内の中級山岳地帯へ出かける場合、つねに高山病のことを頭に入れておく必要がある。

高山病では、頭痛、食欲低下、吐き気、全身疲労感、脱力感、立ちくらみ、息苦しくて何度も日が覚める睡眠障害などがあらわれる。

そのまま放置すると、高所肺水腫や高所脳浮腫につながることがあり、危険である。高所肺水腫になると、上記の症状のほかに、咳、胸部圧迫感が加わり、歩行困難になる。脳浮腫になると、運動失調、精神錯乱がおき、やがて昏睡状態になり、死に至る。

[予防]
ゆとりある山行日程と高所から登るときはアセタゾラミドを服用する

高山病の予防には、ゆとりのある日程を組むことが肝心。

充分に時間をかけて高度に体を慣らしながら山に登ることは、高山病を防ぐ基本的な事項である。国内で高山病の症状を感じるとき、夜行列車や夜通しの車の運転で山に行き、寝不足であったり、休暇の都合で体力に見合わないタイトなスケジュールであるといった場合が多い。

高度の影響以外に、睡眠不足や体力不足が関係していることが多く、自分では高山病と判定することがむずかしい。

また、水分補給も充分に行なおう。

高度が上がるほど、酸素量が減り呼吸が多くなるために体内の水分が失われやすいこと、血液の粘度が増し、体内の循環がうまくいかなくなることなどが埋由だ。充分に水分をとって、たくさんの尿を排出することが大切だ。

高所で行なう海外トレッキング・登山では、アセタゾラミド(商品名:ダイアモックス)を服用する方法もある。とくに、飛行機でいっきに高地に降りる場合、鉄道などで短時間に高度を上げる場合、日程が短く余裕のない高所トレッキングの場合などは、積極的に利用しよう。

これまで、日本では、アセタゾラミドはおもに緑内障の薬として使われてきたために、内科領域でのなじみが薄いが、いまやヒマラヤやスイス、アンデスなどへ向かう欧米の旅行者の間では一般化した薬である。主治医に事情を説明して処方してもらおう。そして詳しい使用法は医師によく確認をしておくこと。

[対応]
早めの対処が肝要

初期の段階で対処すれば大事に至らずにすむ。自分の体調をよく観察して、早めの対処を心がけよう。

高山病の症状を感じたら、高度を下げたり、日程を変更して標高を上げる進度を遅くすることを考えよう。

とくに頭痛がひどい場合などは、夜を越すと症状がひどくなるおそれがあるため、その日のうちに高度を下げることが大切だ。

睡眠中は呼吸が浅くなるために、活動時よりも体内に供給される酸素量が減るからだ。左頁の経過判断表を参考に高山病の進行を把握しておこう。

さらに、水分補給も怠らずに続けよう。

y0182

意識障害のあるときは、いち早く気道確保をすること

口や鼻から気管、気管支をへて肺胞までの呼吸によって空気が出入りする通路を気道という。大量出血や強度の打撲によるショック状態にある場合、脳卒中や心臓疾患によって意識を失った場合、熱中症や低対温症、高山病などによって昏睡状態にある場合などは、気道を確保する必要がある。放置しておくと舌根がのどの奥に落ちていき、呼吸ができなくなるからだ。

気道確保をすると.呼吸の有無も確認することができる。呼吸がなくなった場合は、人口呼吸と心臓マッサージが必要となる。これは、資格をもった認定医師が行なう講習会で正しい方法を身につけるように。間違った方法では、胸部の骨や内臓を痛めたり、酸素吸入最が足りずに脳死に至る可能性もあるからだ。

①平らな場所にあお向けにして寝かせ、「××さん」「目を開けて」などと話しかけ、肩をゆする。

②2本の指であごを持ち上げ、片方の手を額に置き、頭部を後屈させながら、気道を開けるようにする。

③自分の耳を患者のロと鼻に近づけ、呼吸音が聞こえるか確認する。
さらに、自分の接を患者の口と品に近づけ、息がふれるか感じ取る。
また、胸部の上下動があるかを見る。呼吸がない場合は人工呼吸と心臓マッサージを行なう。
呼吸がある場合は血の手順に進む。自分の手を患者の耳部分にもっていき、逆側のヒザを立てるようにする。

④さらに、自分の片手を頭部下に入れ、もう片方の手を太もも部分に置く。

⑤患者を半回転させるように、そっと横向きにする。

⑥患者の手前の曲げたままの腕の上に頭部がのるようにする。
さらに、同じ側の足を曲げるようにして、うつ伏せにならないように支える.この体位を取ることによって、舌根が落ちて窒息してしまうことや、嘔吐物がのどにつまることを防ぐことができる。

y0180-1

熱中症になったら、体温を下げるために太い血管部分を冷却する

炎天下で頭部や頚部に長時間日光を受けたことによって起こる日射病と、高温多湿の環境で運動や労働を行なった場合に起こる熱射病を、合わせて熱中症という。

両者とも、帽子をかぶること、うなじを帽子やえり、バンダナで保護すること、こまめに水分油給すること、極度の高温多湿での行動を控えることなどで防ぐことができる。

熱中症の症状は脱力感、吐き気、強いのどの渇きめまいなと進行すると意識が混迷する。

軽度のうちに、風通しがよく、直射日光を避けられる場所で休もう。木陰や岩陰なとかよい。衣類のボタンを聞けて風通しをよくし、ぬれタオルや水筒を体に当てて体温を下げるようにしよう。その際、頚動脈、わきの下、そけい部などの太い血管がある部分を冷やすと効果的だ。さらに、スポーツ飲料水などで水分補給を行なうこと。

低体温症の予防に、濡れたままの衣頬には要注意

低体温症とは体温が35度以下に下がった状態をいう。

山では、沢登りで長時間冷たい水に浸かっていたとき、汗や雨、雪で衣類がぬれたあとに、風に吹かれたりして体が冷えたときなどに起こりやすい。冬山はもちろんのこと、年間を通じて低体温症のおそれがある。
とくに、夏の雨や塞さに限らず秋先、沢登りの際に注意したい。

予防策は、吸汗即効性のあるのある衣類を選択すること。
雨や雪にぬれないように気をつけること、濡れた衣類は早めに着替えること、充分な休息と栄養をとり体力を保つことだ。

おもな初期症状は、ふるえや筋肉の硬直。さらに進むと、無関心状態や不穏状態になり、意識が薄れ呼吸数が減り、′生命の危機となる。

初勅症状を見逃さずに、ぬれた衣類を着替え、シュラフに入ったり、ストーブ、などで暖をとり、温かいものを飲もう。

スポンサーリンク

シェアする

フォローする