登山中のケガの応急手当の方法

応急手当

登山中に多いケガ、生命の危機におよぶ可能性のあるケガでいちばん多いケガは、転倒などによるねんざ・骨折、切り傷・擦り傷です。

多くの登山者を迎える北アルプスでは、各県警察の山岳救助隊などが山岳遭難の救助にあたっている。2000年の長野・岐阜両県警の報告を見ると、遭難事故の70%以上が、転倒滑落によるものだ。岐阜大学医学部が運営する奥穂高岳夏山診療所の報告を参照しても、ひと夏で約50人が外科系の疾患で来所し、うち約40人が転・滑落や転倒などで負傷しているという。

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注意してほしい炊事中の火傷

炊事のときのガスストーブや熱湯による火傷が多い。大きな火傷になると、登山が続行できないどころか、生命が危機にさらされます。

これらのケガは重症になると、山中からの自力脱出かできなくなることもあります。山中から医療機関に運ばれるまでには、それなりの時間を要するために、応急処置が重要となってくる。医師による医療処置を受けるまでの時間にどれだけ適切な応急処置ができるかが、その後の回復にも大きく影響します。

切り傷など軽症のケガも要注意

軽症のケガでも軽視すると悪化してしまうこともあります。
たとえば、小さな切り傷であっても消毒せずに放出しておくと、化膿する場合もあります。

登山中は風呂に入る機会も少なく不衛生な状況にあるうえに、激しい運動により抵抗力も落ちているため、日常よりも注意が必要です。

化膿がひどくなると、発熱がともなう場合もあり、登山を続けることも困難となってくるからです。

登山中のケガは命に関わる可能性が大きい

適切な応急処置ができるか否かが、その後の登山計画に及ぼす影響は大きい。登山を中止しなければならない場合もあるし、ときには不適切な応急処置が原因で、自力脱出できなくなり、遭難事故につながる可能性もあります。

重症軽症に関わらず、登山中のケガは、生命に関わる問題として、適切な処置を迅速に行なうことが大切です。

■ねんざ・骨折は、湿布ではなく、雪や流水でアイシングをする

登山道を歩いているときに、転んで足をひねった。足が熱を持ち始め、腫れてきます。そして動かすと痛い。
こんなとき、まず最初にすべきことがあります。

「患部を冷やすこと」。

雪渓の雪や流水で、充分に冷やそう。雪渓の雪をバンダナに包んだり、沢が近くにあれば、流水を患部にあてたり、冷水でぬらしたバンダナやタオルを患部にのせるとよい。

●湿布はねんざや打撲の初期治療には役立たない

湿布は貼ると冷たく感じるものの、湿布には冷却する作用がないから。
湿布は、慢性の関節痛や.肩こりには有効ですが、ねんざには役立たないことも覚えておこう。

●冷やした後は患部を固定する

冷やしたあとは、テーピングテープを使って固定する。固定方法は、患部の位置によって異なります。

●骨折の場合

あなたは骨折とねんざの区別がつきますか。

骨折の痛みは、ねんざのそれと明らかに違います。激しい痛みがおそい、気分が悪くなることもあります。患部が異常な形に変形していることもあり、一日おくと、腫れがひどくなり、皮下出血も起こってきます。

【骨折の応急手当】

①整復する。
変形してしまっている患部を正しい状態にも
どす。

②整復した状態で、患部を固定する。
ストックや新聞紙、テントポールなど、その場にあるものを副木の代わりにし、骨折箇所の前後にある関節を含めた範囲を、テーピングテープや弾性包帯で固定する。

③固定が終わったあとは、救助隊を依頼する
などして、なるべく早く病院に運ぶ方法を考
える。

●病院に着くまでは

山中の場合は病院に到着するまでは、地上と違って時間がかかります。
だからねんざ同様、患部を冷却することと水分補給を忘れてはならない。

骨折をした場合は、内出血が必ず起こるら失った血液の半分量以上は、水分補給をすること。この際、経口補液を用いるとより有効的。

●重度の骨折の場合

重度の骨折になると、折れた骨が皮膚を突き破り出血すること(開放骨折)もある。

この場合は、傷口を水でできるかぎり洗い、清潔にして、止血すること。かなりの量の出血があり、傷口も大きくなるので、一刻も早く、救助を依頼し、病院に運ぶようにしよう。

※足首の場合と同様、ひざ関節を安定させ、ねんざの再発と悪化を予防する。たたし、自力て歩かなければならない場合、非伸縮性のテーヒングテープでは不便であることが多い。その場告は、伸縮性テープを用いて、固定力を調節するとよい。

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※ねんざの固定には、基本的には非伸縮性のテーピングテープを用いる。ねんざによって不安定になった足首の関節可動範囲を、テーフの力で制限し、関節を安定させることが目的。ねんざの再発と悪化を防ぐ。足首全体をテーピングすると、ねんざによる腫れを逃すことができないのて、足首前面にはテービングをせずに、あけておく。

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※皮下出血か見て確認できるのは、だいたい24時間後から、目に見えなくても出血は始まっているので、水分補給をすること。医療には「half collection」という原則がある。同量の水分をとることはむすしくても、出血量の半分に相当する水分は、最低限補給するように。

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※変形してしまった患部を引っ張りぎみにしなから、自然な位置にもどし、固定する。整復を行なわないと循環不全になり、機能障害を起こしかねない。

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■切り傷・擦り傷は、圧迫止血法で止まらない場合はポイント止血法を

切り傷、擦り傷を負った場合は、大小に関わらず患部をできるだけ清潔にすることが大切だ。水で洗い、消毒薬をつけよう。

水はできるだけ清潔なものを使うことが好ましい。
近くに水がない場合もあるので、万一に備えて、水筒の中身は真水にしておくのがよいだろう。スポーツ飲料などを水筒に入れる場合は、真水用の水筒を別に用意するか、パーティのなかでひとりは必ず真水にするなどの工夫をしよう。

水筒の水がない場合、それだけでは足りなかった場合はどうしたらよいだろうか。川や沢の水で洗っては、細菌による感染症を引き起こしかねないが、この場合は川の水を使うこともやむを得ない。

感染症については、病院で再洗浄すれば処置できる。山のなかでの傷には、砂利や木屑などがついている場合が多い。できるだけ清潔な水を使って、これらを取り除くことが大切だ。

※出血が止まらない場合は、最初に圧迫止血法を試みよう。患部に清潔なタオルやバンダナ、滅菌ガーゼなどをあてて、傷口を圧迫する。

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●なかなか出血が止まらない場合

出血が止まらない場合は、まずは圧迫法で止血をする。滅菌ガーゼやなるべく清潔なタオル、バンダナを患部にあてて、圧迫する。

これでも出血がおさまらない場合は、ポイント止血法に切り替える。
止血するポイントは、患部の位置によって異なるが、患部を通っている大きな血管を局所的に押さえて止血するのが原則である。

ポイント止血法をしながら移動しなければならないときは、手で押さえ続けることがむずかしい。このような場合は、ポイント止血をする箇所に、平らな小石や小さくたたんだガーゼなどをあてて、テーピングテープで押さえるとよい。

止血が終わったら、患部に滅菌ガーゼをあてて包帯をするか、バンソウコウを貼ること。

■火傷した場合は、ともかく冷やし続けること

なべに沸かした熱湯を狭いテントの中で移動しようとしたときや、ガスストーブを使っているときなどに、火傷をする人が多い。

火傷の重度は、患部の広がりと深さによる。広がりは見ればわかるが、深さは一見しただけではわからない。患部の大小に関わらず、充分な処置をするように心がけよう。火傷は大事に至ると、生命を脅かすおそれもある。

●最初はすぐに冷やすこと

冷水、流水、雪などを使って冷やそう。
この場合も、感染症を心配するよりも、現場でできうるかぎりの冷却を行なうように。
火傷の処置に鼓も大切なのはできるかぎり早く冷却すること。
最低5分、できれば10分間ぐらい冷やしたあとに、傷口を消毒し、滅菌ガーゼでおおうこと。

近年、ガスストーブの爆発事故も増えている。
テントの天井にランタンを吊るし、その下で暖を取るためにストーブの火をつけた、なべを空焚きしたなどということにより、ガスボンベが高温になり爆発した例がある。

この場合、外見はなにも負傷しなかったようでも、気管熱傷を起こしている場合が多いム気管熱傷というのは、瞬時に高温の空気やガスを吸い込んだときに、気管が火傷をするもの。

すぐには症状があらわれなくても、24~48時間後に、症状があらわれ、そのときには手遅れになっていることもある。ガス爆発を起こした場合は、自覚症状がなくても、すぐに病院へいくこと。

※部位別に次のポイントを止血すること、1頭部 2~4顔部 5上腕、6下腕、7手、8指、9脚部(ひさ上)、10脚部(ひさ下)

※ポイント止血法を行なう際のホイント箇所は、部位によって変わるが、原則は体内を流れる大きな血管をポイントで押さえること。入浴時などに、自分のからだにふれて脈拍を確認し、体内のどこに大きな血管が通っているか把握しておくとよい。

※ポイントを、両手を使って押さえる。広範を押さえるのではなく、あくまでもポイントで押さえることが大切。正しいポイントを押さえられれば、出血の勢いがなくなる。

※止血ポイント箇所に小石など小さくて平たいものをあて、その上から包帯やテーピングテープで圧迫する。止血帯では全体を圧迫し、機能障害を起こしかねないが、二の方法であれば、ポイントを圧迫するので、手足切断の可能悼ほほとんとない。

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