雪崩に巻き込まれたら

雪崩とは、山の斜面に積もった雪が、一時に大量に崩れ落ちる現象。
古い積雪の上に積もった数十cm以上の新雪が滑り落ちるものは表層雪崩で、別名新雪雪崩。

爆風を伴い真冬の低温時に時を選ばずに起き、雪崩による死傷者の9割を占める。

地方によってはアワ、ナデなどの名称もある。フランス語のアバランシュavalancheということばも普及している。

また、雪崩の発生するの季節は、冬よりも春先のほうが多く、特に3月~5月は注意が必要。

山に入る前に、過去の雪崩発生現場を調べたりすることも重要で、春から秋にかけて木を伐採していないかも調べること。

雪崩は必ず「雪崩の通り道」がある。雑木林は比較的安全だが、木の少ない斜面はかなり危険だ。雪山では、歩きやすい、展望が良いからといって、木の少ない場所を歩かないようにして欲しい。

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●雪崩発生前

雪崩の危険がある地帯に入るときはストックのストラップから手をぬき、スキーなどの流れ止めは外す。

ヘルメットのアゴひもを締め、ザックはヒップベルトとチェストを外すのが通説だが、雪崩に流された増合に木や岩に激突して大怪我や死亡することが多いため、プロテクターとしてしっかりと背負ったほうがよいとの説もある。

●雪崩発生時

万一、雪崩に巻き込まれてしまった場合、発生と同時に待避行動を取らなければいけない。

しかし、ほとんどの場合、逃げ出すことができないだろうから大声で叫んで仲間に雪崩の発生を伝え、アバラングを装備しているならばマウスピースをくわえる。

ネックゲーターや目出帽をつけているならぼそれで口元をおおい、流されるときに口や鼻に雪が人らないように防御する。あとは必死で雪崩の中をもがいて、とにかく抵抗する。

●雪崩か停止する直前

雪の流れるスピードが遅まったら、口のまわりを手でおおい、流れが停止したら手を動かしてエアスベースを確保。

可能ならば体も揺すって少しでも多くの隙間を作る。
密度の高いデブリであっても雪の中には多量の空気が合まれており、うまくやれば呼吸できることを覚えておこう。

埋没時の窒息のおもな原因は、吐き山した息により□のまわりの雪が固まってアイスマスクができてしまい、そこに二酸化炭素が蓄積し、酸素が透過しにくい状況になってしまうためだ。

体のまわりに少しでも大きなエアポケットを作っておくことで生存できる時間が増す。
ヘルメットの着用も効果が高い。
エアポケットがないと35分後には死亡してしまうといわれている。

●雪崩対策用具の揃え方、選び方

<ビーコン>

最新のデジタル式のほうが、初心者でも埋没者のおおよその方向や、距離を特定しやすく、使いやすい。

むろんこれは遭難者の生還率を大幅に高めることにもつながる。

デジタル式は高側だが扱いやすく、それほど多くの練習を必要としない。
初めてビーコンを使う人はデジタル式を選んだほうが無難だ。
アナログ式は捜索のしやすきではデジタルに劣るが、電波の受信可能距離が長いなどメリットはある。

まずは自分のビーコンを持ち、何度も練習すること。

<シャベル>

しっかりとしたアルミブレードタイプが使いやすい。
プラスチック製は軽量だが硬いデブリには歯が立たないことがある。
大きさは携帯性だけでなく、いざ掘るときに使いやすいサイズを。

<プローブ>

グローブをしたままの手でも素早く組み立てられるもの。
最低200cm以上で目盛りがついたものが使いやすい。

<ザツク>

シャベルやプローブが素早く取り出せるザックを使いたい。
シャベルなどを外付けする場合は、歩行時に誤って落としたり雪崩に流されたときに外れないようにしっかりと固定しておく。

<雪質調査キット>

積雪の状態を観察・記録するために必要な装備。
・スノーソー(コンプレッションテストをするときなどに使う)
・ルーペ(10倍程度。カメラ用品店などで入手可能
・クリスタルカード(雪の結晶の大きさを計測するため、1ミリと2ミリ方眼がプリン卜されている)
・雪温計(低温仕様のもの)
・折尺(2mのものが使いやすい)
・フィールドフック+筆記用具(耐水紙を使用したノート)

<ヘルメット>

雪崩遭難では埋没による窒息のほか、雪崩に流されて樹木や岩に激突して命を落とすことも多い。

スリーシーズン用のヘルメットでも被らないよりはましだが、それらは上方からの落下物に有効で、後方や左右からの衝撃には対応していない。
できれば雪山滑降用のものを選びたい。

<アパラング>

ブラック、ダイヤモンド社が開発した人工肺のようなもの。
雪崩埋没時に雪中の空気を吸い込むことができ、吐き出した二酸化炭素を背中側に排出してくれる。
問題は雪崩発生時、口にくわえられるかということだが、うまくくわえられると埋没後1時間以上生存できるというデータがある。

●雪崩関連の参考書籍

■山岳ユーザーのための雪崩リスク軽減の手引き
特定非営利活動法人『日本雪崩ネットワーク』 (著), 出川 あずさ (著), 池田 慎二 (著)
ガイドやパトロールなど雪崩現場で働く人へ、国際水準の雪崩教育を提供している特定非営利活動法人「日本雪崩ネットワーク」が、雪崩対策のエッセンスをまとめた。
学問としての雪崩ではなく、現場で日々、実践されている手法によって、フィールドではどのような視点で自然を観察し、雪崩リスクの評価を行い、いかに行動すればよいのか。
バックカントリーの入門者からベテランまで、段階に応じて理解すべき内容を整理して記述している。
雪崩に興味のある幅広い層にオススメできるハンディな一冊。
【本書の3つの特徴】
◆机上ではなく現場の山野で実践されている雪崩対策
◆どのように雪崩を理解し、危機を軽減できるか詳説
◆イラスト、写真を多用した簡潔かつ分かりやすい記述

雪崩リスク軽減の手引き―
山岳ユーザーのための

■雪山の基本 (OUTDOOR PERFECT MANUAL)
中山 建生 (著)

『雪山に入る101のコツ』の待望の大改訂版。
雪山を登り、滑る人が知りたいこと、知っておくべきことを、見開きごとに1項目に分けてわかりやすく解説。
バックカントリーの新定番書です。
1章●バックカントリーの魅力
2章●雪山に入るためのギア/雪山の装備/雪山で必要な救急用品/雪山での通信手段/雪崩3種の神器
3章●雪山の気象、初雪の積雪/冬型気圧配置/厳冬期の気象/天気を予想する
4章●雪山での行動テクニック/地図とコンパスを使いこなす/登ったコースを滑り降りる/未知のルートをすべる/ミスコースをした場合/滑落の危険を防ぐ
5章●雪崩の危険を知る/雪崩の原因を知る/積雪の種類と弱層/夜間に降雪があったときの判断/雪崩を誘発する行為
6章●積雪のメカニズム/積雪の分類/弱層を形成する雪
7章●サーチ&レスキュー/雪崩に埋没したときのタイムリミット/雪崩に巻き込まれたら/日ごろからビーコンのチェックを/低体温症の対処法/けが人が発生したら/山の基礎用語集など…雪山に入るコツを伝授

雪山の基本
(OUTDOOR PERFECT MANUAL)

■山登りABC 雪山入門
谷山 宏典 (著), 麻生 弘毅 (著), ワンダーフォーゲル編集部

雪山を始めてみたい! 山登りABCが雪山への第一歩へ、みなさまを案内します。夏山縦走だけではもの足りない。次は雪山へ行ってみたい、でも雪山はどういう場所? 装備は? いつから始めればいいの? など、雪山に興味をもった登山者へのハウツー本。
▼雪山とは?(魅力、シーズンや特徴)
▼装備 厳冬期の装備、残雪期の装備、テント泊装備
▼技術 初心者は残雪期からはじめよう! (ピッケル、アイゼン歩行技術ほか)、テント生活技術
▼雪山の危険 雪崩とは? 低体温症、雪盲、凍傷ほか
▼雪山コラム いろいろ

山登りABC 雪山入門

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