山で出会う野生動物や昆虫への対処法

春から晩秋にかけて、山には様々な生き物が活発に動いています。
中には人を襲う動物もいます。しかし、あまり心配することはありません。
なぜなら、ほとんどの動物や昆虫たちは、たとえ毒をもっていたとしても性格はおとなしく、どちらかというと臆病なのです。こちらから意図的に攻撃をしない限りは、相手の方から逃げていきます。
しかし、一番危険なのは、お互いに鉢合わせしたときです。
この時の対応を誤ってしまうと、最悪の場合は死に至ることがあります。
ここでは代表的な、動物や昆虫について対処法を解説しておきます。

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熊の対処方法

●残した食料が原因でツキノワグマに襲われた

2007年6月、鳥海山の鉾立山荘近くの山中で、タケノコ採りに出かけた63歳の男性が、手に携帯電話を握りしめた状態で死亡しているのが発見された。遺体には全身を熊に咬まれたり引っかかれたりしたような傷が多数あったことから、男性はツキノワグマに襲われ、それが原因で外傷性ショック死したものと推測されました。ちなみに捜索時と遺体収容時には、現場付近で熊が目撃されています。

現場周辺には男性が持っていた食料が食い散らかされていて、ほかにも山菜採りの人たちが捨てたと思われるゴミも散乱していたという。このため地元では、山中に捨てられた食料コミに熊が味をしめ、男性が持っていた食料を狙って襲撃したと見ています。
このほか、同年8月には奥日光・戦場ケ原近くの三本松駐車場から光徳へ向かう林道を歩いていた夫婦が熊に襲われ、夫が腕などを引っかかれるという事故も報告されてます。

●熊との遭遇を避けることが最善の予防法

人的被害が出ているのは、北海道に棲むヒグマと、本州・四国・九州に生息するツキノワグマによるもの。しかし、基本的に熊は人聞を恐れる動物で、自ら好んで人聞を襲う熊はほとんどいない。襲ってくるのは、たまたま人聞に出くわしてしまったときに子熊やわが身を守るためなので、熊との遭遇を避けることが最善の予防法となります。

熊が出没しそうな地域への山行前には、山小屋や地元の市町村役場などに問い合わせて、熊の出没情報を収集し、山行時にはザックに熊よけの鈴をつける、撃退スプレーを携行する、ラジオを鳴らす、仲間とおしゃべりをするなど、なるべく音を出しながら歩くようにしよう。
たいていは音によって熊が先に人間の存在に気づけば、たいていは熊のほうから逃げていくだろう。

●万がいち、熊に出会ってしまったら

熊に出遭ってしまったとき、熊がこちらの存在に気づいていない場合は、ゆっくり後ずさりをして、その場を立ち去ろう。大声を上げたり、あわてて逃げ出すのは禁物。熊が近づいてきたときは大きく腕を振り、おだやかに声をかけて、こちらの存在を知らせること。人だと認識すれば、熊のほうから逃げていくはずだ。

熊が威嚇行動をとったときも、おだやかに声をかけながらゆっくり後退すること。
3~4m以内に迫ってきたら、一気に熊撃退スプレーを噴射するといい。スプレーがなければ、防御姿勢(うつぶせになって、首の後ろで両手を組む)をとって攻撃をやり過ごすしかない。このとき、ザックを背負っていればそれが背中のプロテクターになるだろう。
昔からよく言われる「死んだふりをする」のは、興味を示した熊に引きずり回されたりすることもあるので、かえって危険な状態になる可能性が高い。

猿の対処法

●猿は群れで行動するので要注意

2007年10月、黒部峡谷の水平歩道を樺平に向かっていた5人パーティが、サルの群れに遭遇。
2匹のサルが向かってきたのに驚いた66歳の女性が崖から約30㍍転落し、左手首の骨を折る大ケガを負った。
通りがかったほかの登山者が携帯電話で110番通報し、女性は富山県警のヘリで病院に搬送された。

●警告の鳴き声を聞き逃してはいけない

群れに近づくとサルは警告の鳴き声を発するので、鳴き声を聞いたらそれ以上は近づかないようにして、その場でしばらく待とう。そのうちサルのほうから離れていくはずだ。
歩く予定が遅れるからと、あわてて行動をしてはいけない。それよりも身の安全を第一に考えよう。

●野生動物とは距離を見計らって行動をしよう

サルの群れにばったり遭遇してしまったり、いつの間にか取り囲まれていたときには、うろたえずに毅然とした態度をとること。人間の方が猿より大きいので、猿の方がうろたえているはず。
もしもサルが疑似攻撃をしてきたときに背中を見せて逃げ出そうとすると、すぐに襲いかかってくるので、じりじりと後退しながら距離をとるようにしよう。
後退するときは、自分を大きく見せるために手足を広げたり、ストックなどを横に構えたりするといい。ぶつけないように注意しながら石を投げるのも効果的。
ある程度、距離が離れれば、サルは攻撃をしてこなくなる。このように野生動物とは、お互いの距離感をキープするのが大切である。ペットや動物園のような気持ちで近づくと、大けがをすることになります。

スズメバチの対処法

●刺されると怖いスズメバチ

2007年10月、恵那山の黒井沢コースを下山中のツアー登山の一行が、2グループに分かれて行動していたところ、標高約1400㍍地点で、後ろを歩いていたグループがクロスズメバチに襲われ、50代から70代の男女9人が顔や手足などを刺されたという。
9人は地元の病院で手当てを受けたが、幸いにも全員軽症でした。

●香水をつけて山を歩くとスズメバチを引き寄せてしまう

スズメバチは、巣に近づいてくる者に集団で攻撃をしてきます。
刺されないようにするためには、とにかく巣に近づかないこと。
登山道など歩いていると「スズメバチ危険」と書かれた立て札を見かけることもあるので、そういう場所を歩く時は注意した方が良い。
うっかり近づいてしまって攻撃をしてきたら、一目散に走って逃げるしかありません。
間違っても手で追い払おうとするのは、火に油を注ぐようなものなので、やってはならない。
また、ハチは黒い色や甘い匂いに反応して攻撃をしてくるため、山では、黒いウェアや整髪科、香水などは避けたほうが無難です。

●ハチに刺されたら、まずは水洗いを徹底すること

ハチ毒は水に溶けやすいので、刺されてしまったら、まず患部に流水をかけながら毒液を絞り出すようにして洗い流そう。
毒液は口で吸い出してもいいし、登山用品店で販売しているようなポイズンリムーバーを使ってもかまわない。患部には抗ヒスタミン剤を含んだステロイド軟膏を塗っておくこと。
なお、国内では毎年40人近くがスズメバチに刺されて命を落としています。ほとんどは「アナフイラキシー・ショック」と呼ばれるショック症状によるものです。もしショック症状の兆候(嘔吐・下痢・発熱・チアノーゼなど)が表われたら、すぐに病院に運んで手当てを受けること。

猪への対処法

●猪に突進されるとそのパワーと鋭い牙で大けがは避けられない

2005年12月、埼玉県長瀞町にある福祉施設の中庭に突如、現われた体長約1㍍の猪が女性ふたりに次々と襲いかかり、助けようとした男性にも危害を加える事件がありました。
3人は暖まれたり牙で突かれたりするなどして、女性ひとりが右足を骨折、ほかのふたりも右足を深く切るなどの重傷を負った。
猪は3人を襲ったのち、施設に突進してガラス窓を割り、山林のほうへ逃げていったという。
兵庫県にある六甲山はハイキングコースが多く、休日には多くのハイカーで賑わっています。ここは昔から猪が人里に降りてきたり、登山道でもよく遭遇する地域です。
しかし、最近は山中での餌の減少や、登山客が餌付けしてしまった影響で、人を襲うようになっており、とても危険な状態だと言われています。

●山里を離れるまで警戒心を怠ってはいけない

近年は、野山よりも山麓の里や街中での被害が頻発しています。
これは山の開発によるものもありますが、猪を狩る猟師の高齢化と、法律による処分や食肉の規制などで猟師へのなり手が少なくなっているのも原因のひとつです。
山中のみならず、入下山時に山麓を歩くときでも警戒を怠ってはならない。
鈴を身につけておけば、猪よけの効果もあります。また、食料を入れたビニール袋が狙われるケースもあるので、手に持ったり、ザックにぶら下げて歩かないようにして欲しい。

●もし猪と出会ってしまったら

猪が近づいてきたら、ゆっくり後ずさりをして離れよう。
なおも近づいてきたら、ザックをその場に置き、猪が気をとられているすきに逃げ出そう。あわてて駆け出したりしてはならない。石を投げたり、棒を振り回して抵抗するのも厳禁です。

ヘビへの対処法

●マムシによる咬傷被害は年間約3000人

国内(南西諸島以外)で気をつけなければならない毒ヘビは、マムシとヤマカガシの2種類。
マムシによる咬傷被害は年間約3000人で、死者は10人前後とされています。
田畑や山林での作業中に、マムシがいることに気づかずに、うっかり手を出したり踏んづけたりして咬まれるケースがめだつようだが、沢登り中に咬まれたなどの報告もある。いっぽう、ヤマカガシによる被害実態は不明だが、子どもが棒でちょっかいを出したり、農作業中に鎌で切りつけるなどした際に、首筋の毒腺から発射される毒液が目に入るという事例が報告されていてとても危険です。

●草むらや藪漕ぎをする時は、特にヘビには注意しよう

マムシもヤマカガシも性格はおとなしく、こちらから手を出さない限り攻撃を仕掛けてくることはまずない。
ヘビが潜んでいそうな草むらや、ヤブのなかなどを歩くときは警戒を怠らないようにし、大きな岩の問や倒木の陰や草むらには、むやみに手を突っ込まないこと。
ヘビを見つけたら50㌢以上距離をとり、迂回するなどしてやり過ごそう。

●もしもヘビに咬まれてしまったら

マムシに咬まれたときは、傷口を前歯で挟むようにして毒液を吸い出し(ポイズンリムーバーを使ってもOK)、傷口と心臓の間をハンカチなどで軽く練り(10分に1度、約1分ほどゆるめて血流を再開させる)、早く病院へ行って治療を受けよう。
ヤマカガシの場合は、有毒牙が口内の奥にあるので、前歯で暖まれた程度なら毒は注入されていない。2日以内に異常がなければ大丈夫だ。ただし、しばらくして暖まれたところから出血が始まったり、血尿・血便・皮下出血などの症状が表われたら、すぐに病院へ。また、頭部から発射された毒液が目に入ったときは、流水でよくう先い流して眼科へ直行すること。

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